施設長などの夜勤

たまに、ごくたまに、ですが、
施設長や管理者が夜勤に入ることについての問合せがありました。

介護保険でも障害福祉サービスでも、あるいは児童福祉法に基づく障害児サービスでも、施設長、管理者という職種の人間が、その施設や事業所の一般職員としての役割を兼務することを禁止する明文の規定はありません。
訪問介護など、一般的な在宅サービスの多くでは、管理上支障がない場合には他の職務に従事できる旨の規定があります。)

たとえば、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)」では、管理者の勤務についての規定は、次の条文ぐらいです。

(管理者による管理)
第二十一条 指定介護老人福祉施設の管理者は、専ら当該指定介護老人福祉施設の職務に従事する常勤の者でなければならない。ただし、当該指定介護老人福祉施設の管理上支障がない場合は、同一敷地内にある他の事業所、施設等又は当該指定介護老人福祉施設のサテライト型居住施設の職務に従事することができる。

特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)」でも、

(職員の資格要件)
第五条 特別養護老人ホームの長(以下「施設長」という。)は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十九条第一項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に二年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
2~3 (略)

(職員の配置の基準)
第十二条 特別養護老人ホームには、次の各号に掲げる職員を置かなければならない。(略)
 一 施設長 一
 二~七 (略)
2~3 (略)
4 第一項第一号の施設長及び同項第三号の生活相談員は、常勤の者でなければならない。

という程度です。

では、施設長や管理者が夜勤に入るようなシフトは可能でしょうか?

私は、施設長や管理者が定期的に夜勤に入らないと回らないようなシフトは想定されていないと考えます。

というか、そんな施設や事業所はダメでしょう。
夜勤明けで施設長が昼間にいないことが多い施設とか、いたとしても寝不足でまともな判断ができないかもしれない職場とか、職員も入所者の家族も不安ではないでしょうか。

ただし、突発事態、たとえば夜勤に入るべき介護職員が急病(インフルエンザ)などで対応できないとき、さらに他の職員も都合がつかないような状況で、スクランブル的に施設長や管理者が夜勤に入ることはあり得るだろうと思います。

なお、そういう事態を想定しての「施設長兼介護職員」というような兼務辞令が発令されていれば、
「事務上は完璧」ということなのでしょうが、
事前に兼務辞令が出ていなければ
「介護職員としての夜勤でないから人員基準上は夜勤職員としてカウントできない」(つまり減算)
とまでは私は考えていません。
事後にでも、所要の手続きを行うなり、シフト表を修正するなり、という事務処理は必要でしょうが。

もちろん、夜勤を行う介護職員としての能力を、その施設長や管理者が有している、ということが前提になります。
これは、施設長ではなく、他の職種、たとえば生活相談員スクランブル的に夜勤に入る場合も同様です。