社福法人指導監査要綱パブコメ 結果1


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社会福祉法人指導監査実施要綱の制定について(通知案)」等に関する意見の募集の結果について
平成29年4月27日
厚生労働省 社会・援護局福祉基盤課
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160448&Mode=2

 平成29年3月1日(水)から平成29年3月30日(木)までの間、「社会福祉法人指導監査実施要綱の制定について(通知案)」等に関して意見を募集したところ、75件の御意見が寄せられました。
 お寄せいただいた御意見とそれらに対する考え方につきまして以下のとおりとりまとめましたので、公表いたします。
 なお、とりまとめの都合上、いただきました御意見のうち、同趣旨のものは適宜集約するとともに、意見募集の対象となる事項のみお示ししております。
 今回御意見をお寄せいただいた方々の御協力に、厚く御礼申し上げます。

1 実施要綱の2の(2)において、年度当初に一般監査の実施時期等を内容とした実施計画を策定することとされているが、一方で課長通知の2の(1)において、一般監査の実施の周期決定について、毎年度法人から提出される計算書類等を確認した上で決定することとされている。
 この場合、毎年度法人から書類が提出されるのを待つと実施計画は毎年度7月以降にしか策定できないこととなるが、どのように解釈すればよいか。年度当初に対象法人を決定し実施計画を策定した上で、7月以降にそれを見直すことは可能か。

 一般監査の実施の周期の延長等の判断にあたっては、会計監査報告等の提出を法人から受け、所轄庁が確認した上で行われるものであり、この確認後に監査計画を変更して監査周期の変更を行うことも可能です。

2 実施要綱の3の(1)のアに記載する「特に大きな問題が認められないこと」について、具体的な基準を示してほしい。

 法人の運営については、その理念・形態、事業規模等が様々であり、その適切さについて一律の基準を定めることは望ましくないと考えられます。そのため、特に大きな問題が認められないことの判断については、法人のこれまでの運営状況や所轄庁による指導監査の結果等も踏まえつつ、個々の状況に即して、各所轄庁において判断されることが適当であると考えます。

3 理事及び監事の任期が2年、評議員の任期が4年であることを踏まえると、一般監査の実施周期は、法人の状況に応じて毎年、2年に1回又は4年に1回とすべき。3年に1回では、役員の任期中に1度も指導監査を受けない法人が、5年に1回では評議員の任期中に1度も指導監査を受けない法人が発生する。監査周期を緩和しすぎているのではないか。

 監査周期の見直しについては、今回の制度改正により、経営組織のガバナンスの強化や事業運営の透明性の向上が図られることに伴い、法人の自主性・自律性を前提として、運営に大きな問題がない法人や会計監査人設置法人等に対する監査周期を延長するとともに、大きな問題がある法人に対する指導監査(特別監査を含む)を随時行うことを明確化するなど、指導監査の重点化を図るものです。そのことにより、運営に大きな問題がない法人の負担の軽減を図るとともに、所轄庁においても効率的・効果的な監査を行うことが可能となると考えております。

4 口頭指摘では、法人側に正確な記録が残らないこと、また、所轄庁と法人との間に認識の齟齬が発生し得ること、評議員、理事及び監事が所轄庁からどのような指導を受けたのか正確に把握できないことから、文書指摘を「所轄庁への改善措置報告を要する指摘」、口頭指摘を「所轄庁への改善措置報告を要しない指摘」、助言を「法人運営に資する助言」として、これらの指導を行う場合は必ず文書で行うようにするべき。

 実施要綱においては、これらの指導を行うにあたっては、法人と指導の内容に関する認識を共有できるよう配慮する必要があることを示しております。この認識の共有は基本的には文書により行うことを想定しています。

5 指導監査結果の公表は、法人の運営の適正化の観点から有効な手段であることから、各都道府県市の情報公開条例に基づく開示請求によらない場合でも、各所轄庁のホームページ等で指導監査結果を公表するようにすべき。

 所轄庁のホームページ等での指導監査結果の公表については、所轄庁が法人に対する指導に効果的であるか等も含め、その必要性を判断すべきものと考えております。なお、法人の事業運営の透明性の向上の観点からは、積極的に情報公開に取り組んでいただくことが望ましいと考えます。

6 所轄庁が、法令の定めとは別に、指導監査の実施に当たって独自の書類等の提出を求めることも認められるか。

 ガイドラインでは、法令又は通知の根拠なく、特定の書類の作成を求めないことを原則としています。一方、所轄庁が指導監査の際に、法令で定められている報告書類に加えて、指導監査に必要な範囲において、確認のために必要な書類を法人に求めることは差し支えないものと考えます。
 ただし、その場合であっても、必要性について所轄庁から法人に十分説明すること、また、法人の過度の負担にならないようにすることに留意すべきです。

7 実施要綱の5の(3)で、指導を行った事項について改善が図られない場合には改善勧告等所要の措置を講ずることとあるが、文書指摘だけではなく、口頭指摘や助言を行った場合にも改善勧告等の措置を講ずる必要があるのか。

 口頭指摘については、違反の程度が軽微であること等を理由に文書指摘によらないこととされるものであり、また、助言は法令等の違反に対して行われるものではなく、いずれも法人から改善措置に関する報告を求めるものではないため、改善勧告の対象にならないと考えます。

8 実施要綱の7の(3)で「法人に対して管轄機関への確認を促す等の指導を行う」とあるが、「指導」とあるのは、文書指摘、口頭指摘、助言のうちどの
レベルを想定しているのか。
 また、「必要に応じて、処分権限を有する関係機関へ通報する等の措置をとることにより、適切に対応する」とあるが、これはどのような場合を想定しているのか。

 確認を促す等の対応にあたっては、特定の指導を前提に行うことを想定しているものではなく、法人の認識や対応状況等に応じて、法人自ら確認することを促すこと、あるいは所轄庁が直接管轄機関に情報提供することなど、適宜対応をしていただくことを考えています。

9 ガイドラインのIIIの3「会計管理」等の内容が、日本公認会計士協会非営利法人委員会研究報告第26号のチェックリストの内容と異なっているため、そろえるべき。

 ガイドライン日本公認会計士協会の作成するご指摘のチェックリストとは、その趣旨・目的を異にするものであるため、必ずしも内容を同じものにする必要はないと考えます。

10 ガイドラインに、実地監査の重点ポイントと思われる[1]寄附、[2]契約、[3]印鑑・通帳の管理の規程に基づく手続に関する事項を確認対象として記載すべき。

 これらの事項に関する法令上の定めはなく、個々の法人で経理規程等に定めるものであるため、ガイドライン中の個別の確認事項としては記載しません。

(つづく)