「夫婦同姓は合憲」判決

「女性の再婚禁止期間」は違憲、「夫婦同姓」は合憲

(TBS系(JNN) 12月16日(水)11時58分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20151216-00000022-jnn-soci

以下、抜粋です。

 民法の「女性の再婚禁止期間」を定めた規定と「夫婦は同姓」と定めた規定が、それぞれ憲法に違反するかが争われた裁判で、最高裁大法廷は「女性の再婚禁止期間」を定めた規定は憲法違反とし、「夫婦は同姓」とする規定は憲法に違反しないと判断しました。

 1つ目の判断は「女性の再婚禁止期間」について。この規定は生まれて来る子どもの父親が誰なのかという争いを避けるために、明治時代に設けられたものです。岡山県内の30代の女性が「必要以上に女性にだけ制約を課している」と訴えていましたが、1審と2審では原告側の訴えが退けられていました。

 しかし16日示された最高裁の判断は損害賠償は認めなかったものの、「規定は憲法に違反する」というものでした。「科学技術の進歩や時代の変化で離婚後100日を超える再婚の禁止は過剰な制約となった」と指摘したのです。

 「夫婦は夫か妻どちらかの姓を名乗る」と定めた民法の規定は、「人格権や結婚の自由の侵害にあたる」として、“夫婦別姓”を求める男女5人が原告となっていました。

 最高裁大法廷は、夫婦同姓が社会に定着していること、家族の名字を1つとすることに合理性があるとしたうえで、「姓を変えることによるアイデンティティーの喪失は通称の使用などで補える」などと指摘しました。ただ、裁判官15人のうち、違憲だと判断した裁判官は5人いて、3人の女性裁判官全員が「違憲」と判断しました。

 具体的には、「夫婦同姓に例外を設けないことは、自己喪失感といった負担を負うこととなる」「変更前の姓の人物と別人と思われかねない。重大な利益侵害である」などというものでした。

 女性の6か月間の再婚禁止に関する規定については、国会での法改正が迫られることになります。

 一方、夫婦同姓の規定については、最高裁は「国会の裁量に任されている」としました。

 「法務省からは早期に民法改正を行うとともに、戸籍事務については、今後、早急に検討していく必要があると報告を受けている」(菅 義偉 官房長官

 「改正法が成立するまでの間であっても、離婚後100日を超え6か月以内の女性を妻とする婚姻届が出された場合、受理することになる」(岩城光英 法相)


私が見たところでは、夫婦同姓合憲の件は新聞社系より放送局系の方が判決内容が詳しく出ているようで、もうひとつNHKからも抜粋。


夫婦別姓認めない規定 合憲判断も5人が反対意見

(12月16日 17時15分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151216/k10010343011000.html

判決で最高裁判所大法廷の寺田逸郎裁判長は、「夫婦が同じ名字にする制度は、わが国の社会に定着してきたものであり、社会の集団の単位である家族の呼称を1つにするのは合理性がある。現状では妻となる女性が不利益を受ける場合が多いと思われるが、旧姓の通称使用で不利益は一定程度、緩和されている」などとして、憲法には違反しないという初めての判断を示しました。
そのうえで判決は、「今の制度は社会の受け止め方によるところが少なくなく、制度の在り方は国会で論じられ、判断されるべきだ」と指摘しました。
一方、裁判官15人のうち女性裁判官3人全員と、男性の裁判官2人の合わせて5人が夫婦別姓を認めないのは憲法に違反するという意見を述べました。

16日の判決では、15人の裁判官のうち10人の多数意見として、家族を同じ名字とする制度には合理性があると認めました。
多数意見では「民法の規定は、夫婦がどちらの名字にするか当事者の話し合いに委ねていて、性別に基づく差別的な取り扱いを定めているわけではなく、規定自体に不平等があるわけではない」という判断が示されました。そして、夫婦が同じ名字にする明治以来の制度は社会に定着しているとしたうえで、「家族を構成する個人が同一の名字を名乗ることで家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見いだす考え方も理解できる」として、制度には合理性があると認めました。一方、「名字を変える人にとってアイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会的な信用や評価を維持することが難しくなったりするなどの不利益は否定できず、妻となる女性が不利益を受けることが多いだろう」として、制度にはデメリットがあることも認めました。
しかし、旧姓を通称として使うことが広まることによって不利益は一定程度緩和されるとして、個人の尊厳や両性の平等を保障する憲法には違反しないと判断しました。また、寺田逸郎裁判長はみずからの考えを補足意見として示し、夫婦別姓の裁判について、「司法の場での審査の限界を超えており、民主主義的なプロセスにゆだねることがふさわしい解決だ」として、国会で議論されるべきだという考えを重ねて示しました。

夫婦別姓についての判決では、最高裁判所の裁判官15人のうち、女性裁判官全員を含む5人が「婚姻の自由を保障した憲法に違反する」という意見を示しました。
最高裁判所の岡部喜代子裁判官、櫻井龍子裁判官、それに鬼丸かおる裁判官の女性3人は、連名で意見を出しました。
この中で「女性の社会進出は著しく進み、結婚前の名字を使う合理性や必要性が増している。96%もの夫婦が夫の名字を名乗る現状は、女性の社会的、経済的な立場の弱さなどからもたらされている。妻の意思で夫の名字を選んだとしても、その決定過程には、現実の不平等と力関係が作用している」と指摘しました。
そのうえで、「多くの場合、女性のみが自己喪失感などの負担を負うことになり、両性の平等に立脚しているとはいえない。今の制度は結婚の成立に不合理な要件を課し、婚姻の自由を制約する」として、憲法違反だと結論づけました。
また、木内道祥裁判官も、「同じ名字でなければ夫婦が破綻しやすいとか、子どもの成育がうまくいかなくなるという考えは根拠がない」などとして憲法違反だと判断しました。
さらに山浦善樹裁判官は、憲法違反だとしたうえで、「平成8年に、法制審議会が夫婦別姓を認める民法の改正案を出したのに、今も制度を変えていないのは、国会が立法措置を怠っているということだ」として、国に賠償も命じるべきだという反対意見を述べました。

官房長官は午後の記者会見で、夫婦別姓について、「国の主張が基本的に認められたものというふうに考えている。いずれにしろ最高裁の判断が示されたわけであり、それに基づいて対応していくというのは当然のことだと思う」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は、記者団が今後夫婦別姓制度について議論していく考えはあるのか質問したのに対し、「国民の間にさまざまな意見があることも事実で、国民的な議論を踏まえながら慎重に対応していくことが必要だ」と述べました。

いずれも、あり得る判決だろうとは思っていました。
私自身は選択別姓容認の立場ですが、「違憲」論というよりは、国会の場などで(党議拘束を外して)議論すべきかと。

もうひとつ、裁判官で判断が分かれたのも予想どおり。
国民の間でも分かれていますし。

ただ、女性裁判官全員が意見と判断したことを、世の男性は重く受け止めるべきかもしれません。

このテーマ、機会があれば、また記事にします。