児童相談所とパワハラ

児相幹部、電話相談「放っておけ」 佐世保高1殺害事件

朝日新聞デジタル 10月26日(日)18時0分配信)

 長崎県佐世保市の高校1年の同級生を殺害した容疑で逮捕された少女(16)=鑑定留置中=について、診察した精神科医が事件前、「人を殺しかねない」と県佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)に電話した際、センターの幹部職員が「病院からの丸投げは放っておけ」という趣旨の発言をしていたことが関係者への取材でわかった。この幹部職員は事件後、部下へのパワーハラスメントで処分も受けていた。

 県の調査によると、精神科医から児童相談所に電話で相談があったのは事件の約1カ月半前の6月10日。少女については匿名だったが、精神科医は自分の氏名は名乗った。

 関係者によると、幹部職員は自治体や病院などの外部機関からの相談を受ける部署に所属。電話を受けた10日は不在で、電話内容は翌日に報告を受けた。その際、「病院からの丸投げを受ける必要はない」との趣旨の発言をした。幹部職員は関係機関からの連絡について普段から「丸投げを受けるな」という内容の発言をしていたという。

 電話の内容は幹部職員の上司にあたる所長にも報告され、センターは、支援の必要性を検討する受理会議を開かず、県教委など関係機関にも連絡しなかった。県幹部は「所長も報告を受けており、(幹部職員の発言で)センターの対応に直接的な影響があったとは考えていない」としている。

 幹部職員はこのほか、部下への指導で威圧的な言動を繰り返していたといい、事件後、職員が内部告発し、県人事課が調査。県はパワハラと認定し、幹部職員は9月下旬、文書による厳重注意処分を受けた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141026-00000028-asahi-soci


記事の紹介は、これだけでもいいのかもしれませんが、ソースが朝日だけだと信用できないといわれそうな昨今なので、他紙も引用します。


医師通報に「放っておけ」、児相幹部発言か 佐世保高1殺害

日本経済新聞 2014/10/27 11:29)

 長崎県佐世保市の同級生殺害事件で、殺人容疑で逮捕された高校1年の少女(16)を事件前に診察した精神科医からの通報を県の佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)が放置した問題で、通報を受けた職員に対し、上司の男性幹部が「放っておけ」と発言したことが27日までに、県の調査で分かった。

 県は9月下旬、この幹部が部下にパワハラを繰り返したとして文書で厳重注意処分にしている。発言内容は児相関係者に聞き取りをする中で出てきた。

 精神科医の通報を放置した理由について県はこれまで、幹部の部下の職員が「関係機関からの問い合わせ」と判断し内部処理したためと説明しており、今後、幹部の発言内容の詳細を確かめる。

 県の調査によると、児相職員は6月10日に精神科医から「少女は人を殺しかねない」との通報を受け、その後この幹部に内容を説明。その際、幹部は精神科医が勤務する病院名を挙げ「また丸投げをするのか。放っておけ」と発言をした。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H1M_X21C14A0CC0000/


佐世保事件対応の最中も? パワハラで児相幹部厳重注意 医師通報時の詳細を調査

(産経WEST 2014.10.26 08:32更新)

 長崎県佐世保市の高1女子生徒殺害事件の約1カ月半前に、逮捕された少女(16)を診察した精神科医からの通報を放置した県の佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)で、部下にパワハラをしていたとして県が男性幹部を厳重注意処分にしていたことが25日、県関係者への取材で分かった。

 県は、この幹部が精神科医からの通報の報告を受ける立場だったことから、当時の対応の詳細を調べている。

 県関係者によると、児相幹部は勤務姿勢や業務上のミスについて、日常的に部下を厳しく叱責したり威圧的な態度を取ったりしていた。体調を崩し、長期休暇を取った職員もいるという。

 事件後に職員の内部告発で発覚し、県は聞き取り調査を実施。児相幹部が部下と良好な関係を築かず、パワハラを繰り返していたとして9月下旬、この幹部を厳重注意処分にした。

 県によると、児相の職員は6月10日、精神科医からの通報を受け、医師が「(少女が)人を殺しかねない」と懸念しているとの内容をこの幹部らに伝えていた。しかし、結局、児相は内部処理で済ませ放置した。

 児相の宮崎慶太所長は「職場の人間関係の問題が、今回の事件に影響を及ぼしたとは考えていない」と話している。

 事件は7月26日に発生し、少女は翌27日に殺人容疑で逮捕された。
http://www.sankei.com/west/news/141026/wst1410260018-n1.html


かなり特異な事件ですし、児童相談所の業務は質量ともに大変になっていますし、詳細な状況がわかりませんが・・・・・・

今回の「児相幹部」については弁護の材料が全く思い浮かびません。

<「放っておけ」というパワハラ上司>
というのは、たぶん児童相談所に一番不要なものです。
(たとえ丸投げが問題でも、ともかく協議して役割分担等を相談すべき。)

ちなみに、某児童相談所の虐待対応で批判を浴びた頃の、某BBSでの私の書き込みです。

高齢者の虐待ケースについても、踏み込む勇気を持ち続けたい(そして、そういう決断のできる市町村職員や地域包括支援センターを支援したい)ものですね。

極論すれば、公務員はこういう事態に身体を張って踏み込むためにこそ存在する。
首長の(往々にして選挙目当ての)耳障りのよいイベント類のために存在しているのではない。

結果として「勇み足」になったとしても、それをマイナス評価としない(たとえ、実際には虐待がなかった場合でも、緊急保護に動いた公務員の行為で何らかの補償が必要になったとしても、それは組織として対応すべき)、そういう考課システムが必要と思います。