必要性は多数決で決めるのではない

2013年5月15日 第44回社会保障審議会介護保険部会 議事録より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000033spn.html

○大西委員 高松市長の大西です。
(略)
 生活支援・介護予防の関係でございますけれども、これにつきましても、現在、要支援1、2の対象者で高松市の現状を見てみますと、そのうち実際サービス給付を受けているのは6割ちょっとなのです。3分の1の方は要支援1、2でサービス支援を受けていないというものがあるわけです。要支援1、2をお守り的な認定をもらっていてサービスを受けないでもいいよという人がいるので、その辺は非効率な部分が相当出てきている。そういうことからすれば、ある程度元気な人、あるいは二次予防の人などとも合わせながら、要支援の人たちについての介護予防あるいは生活支援といったものを事業としてもっと効率的にうまくできるやり方があるのではないかと思っております。


 
この市長への批判を意図するわけではありませんが、ある意味、よい機会と思うので。
 
要支援を含む軽度の認定を受けている中で、介護保険のサービスを利用していない人が一定割合存在するというのは、当然のことではあります。
 
重度の方なら、家族が努力しようと、あるいは本人が頑張ろうと、何らかの支援(福祉用具のようなハードウェアを含む)がないと生活の維持が難しい場合が多いでしょう。
 
軽度の方なら、本人の状態も家族など周囲の環境も個人差が大きい。
だから、必要な方はサービスを利用し、必要でない方はサービスを利用しない。
あるいは、支給限度額の一部しか利用しない。
 
そのこと自体は問題ではありません。
 
「利用しない人が3分の1いるから、サービスは不必要だ」
という理屈にはなりません。
要支援者へのサービスは不必要だ」
ということにはなりません。
 
逆に、
「3分の2の人が利用しているから、残りの3分の1の人も利用すべきだ」
ともなりません。
 
サービス利用の必要性は、多数決で決まるのではありません。
 
なお、
「要支援1、2をお守り的な認定をもらっていて」
についていえば、これは制度が悪い面もあります。
何度も言っていることですが、平成18年4月からは、認定結果が出るまで、予防給付か介護給付か、ケアマネジメントを誰に依頼するのか、確定しないのですから。
18年3月以前の仕組みに戻せば、つまり認定申請をした日からスムーズにサービスを受けられる保証があるのなら、いくらかは減るものと思われます。