介護保険最新情報Vol.341より

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律
の整備に関する法律
の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令
の整備等に関する省令
について

ちょっと切り方を工夫してみましたが、やっぱりわかりにくい(苦笑)

平成25年9月13日付けで、居宅介護支援や介護予防支援などの基準省令の改正省令が公布されました。
施行は平成26年4月1日です。

この記事と、その次の記事などで触れたのと同じような流れです。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/30369273.html

自治体の条例で基準を定めるようになるのですが、その際に、国の基準は次のように区分されます。
・「従うべき基準」
 条例の内容を直接的に拘束する、必ず適合しなければならない基準であり、当該基準に従う範囲内で地域の実情に応じた内容を定める条例は許容されるものの、異なる内容を定めることは許されないもの。
・「参酌すべき基準」
 地方自治体が十分参酌した結果としてであれば、地域の実情に応じて、異なる内容を定めることが許容されるもの。

「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)で見てみますね。

第一章は、この区分の説明条文が加わり、省名も変わりますが、省略。

第二章(人員に関する基準)は、「従うべき基準」です。
だから、常勤ケアマネ1人以上、とか、1人あたり利用者35人(又は端数)が標準、管理者も常勤ケアマネ、という部分は、基本的に自治体(指定権者である都道府県や政令市、中核市)では変えられません。

第三章(運営に関する基準)では、
第4条(内容及び手続の説明及び同意。ただし、第3項以降の「電磁的方法」云々は除外)、
第5条(提供拒否の禁止)、
第23条(秘密保持)、
第27条(事故発生時の対応)
といったあたりが、「従うべき基準」です。

ひとつ、わざと飛ばしました。

第13条(指定居宅介護支援の具体的取扱方針)は、各号によって「従うべき基準」と「参酌すべき基準」が分かれています。
各号を列挙した上で、「従うべき基準」を{赤色}にしてみました。

一 指定居宅介護支援事業所の管理者は、介護支援専門員に居宅サービス計画の作成に関する業務を担当させるものとする。
二 指定居宅介護支援の提供に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者又はその家族に対し、サービスの提供方法等について、理解しやすいように説明を行う。
三 介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成に当たっては、利用者の自立した日常生活の支援を効果的に行うため、利用者の心身又は家族の状況等に応じ、継続的かつ計画的に指定居宅サービス等の利用が行われるようにしなければならない。
四 介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成に当たっては、利用者の日常生活全般を支援する観点から、介護給付等対象サービス(法第二十四条第二項に規定する介護給付等対象サービスをいう。以下同じ。)以外の保健医療サービス又は福祉サービス、当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めて居宅サービス計画上に位置付けるよう努めなければならない。
五 介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成の開始に当たっては、利用者によるサービスの選択に資するよう、当該地域における指定居宅サービス事業者等に関するサービスの内容、利用料等の情報を適正に利用者又はその家族に対して提供するものとする。
六 介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により、利用者について、その有する能力、既に提供を受けている指定居宅サービス等のその置かれている環境等の評価を通じて利用者が現に抱える問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しなければならない。

{七 介護支援専門員は、前号に規定する解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、介護支援専門員は、面接の趣旨を利用者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。}

八 介護支援専門員は、利用者の希望及び利用者についてのアセスメントの結果に基づき、利用者の家族の希望及び当該地域における指定居宅サービス等が提供される体制を勘案して、当該アセスメントにより把握された解決すべき課題に対応するための最も適切なサービスの組合せについて検討し、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、提供されるサービスの目標及びその達成時期、サービスの種類、内容及び利用料並びにサービスを提供する上での留意事項等を記載した居宅サービス計画の原案を作成しなければならない。

{九 介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を召集して行う会議をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
十 介護支援専門員は、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等について、保険給付の対象となるかどうかを区分した上で、当該居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得なければならない。
十一 介護支援専門員は、居宅サービス計画を作成した際には、当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。}

十二 介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成後、居宅サービス計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。)を行い、必要に応じて居宅サービス計画の変更、指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うものとする。

{十三 介護支援専門員は、前号に規定する実施状況の把握(以下「モニタリング」という。)に当たっては、利用者及びその家族、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。
 イ 少なくとも一月に一回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること。
 ロ 少なくとも一月に一回、モニタリングの結果を記録すること。}

十四 介護支援専門員は、次に掲げる場合においては、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
 イ 要介護認定を受けている利用者が法第二十八条第二項に規定する要介護更新認定を受けた場合
 ロ 要介護認定を受けている利用者が法第二十九条第一項に規定する要介護状態区分の変更の認定を受けた場合

{十五 第三号から第十一号までの規定は、第十二号に規定する居宅サービス計画の変更について準用する。}

十六 介護支援専門員は、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが総合的かつ効率的に提供された場合においても、利用者がその居宅において日常生活を営むことが困難となったと認める場合又は利用者が介護保険施設への入院又は入所を希望する場合には、介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うものとする。
十七 介護支援専門員は、介護保険施設等から退院又は退所しようとする要介護者から依頼があった場合には、居宅における生活へ円滑に移行できるよう、あらかじめ、居宅サービス計画の作成等の援助を行うものとする。
十八 介護支援専門員は、利用者が訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスの利用を希望している場合その他必要な場合には、利用者の同意を得て主治の医師又は歯科医師(以下「主治の医師等」という。)の意見を求めなければならない。
十九 介護支援専門員は、居宅サービス計画に訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスを位置付ける場合にあっては、当該医療サービスに係る主治の医師等の指示がある場合に限りこれを行うものとし、医療サービス以外の指定居宅サービス等を位置付ける場合にあっては、当該指定居宅サービス等に係る主治の医師の医学的観点からの留意事項が示されているときは、当該留意点を尊重してこれを行うものとする。
二十 介護支援専門員は、居宅サービス計画に短期入所生活介護又は短期入所療養介護を位置付ける場合にあっては、利用者の居宅における自立した日常生活の維持に十分に留意するものとし、利用者の心身の状況等を勘案して特に必要と認められる場合を除き、短期入所生活介護及び短期入所療養介護を利用する日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならない。
二十一 介護支援専門員は、居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置付ける場合にあっては、その利用の妥当性を検討し、当該計画に福祉用具貸与が必要な理由を記載するとともに、必要に応じて随時サービス担当者会議を開催し、継続して福祉用具貸与を受ける必要性について検証をした上で、継続して福祉用具貸与を受ける必要がある場合にはその理由を居宅サービス計画に記載しなければならない。
二十二 介護支援専門員は、居宅サービス計画に特定福祉用具販売を位置付ける場合にあっては、その利用の妥当性を検討し、当該計画に特定福祉用具販売が必要な理由を記載しなければならない。
二十三 介護支援専門員は、利用者が提示する被保険者証に、法第七十三条第二項に規定する認定審査会意見又は法第三十七条第一項の規定による指定に係る居宅サービス若しくは地域密着型サービスの種類についての記載がある場合には、利用者にその趣旨(同条第一項の規定による指定に係る居宅サービス若しくは地域密着型サービスの種類については、その変更の申請ができることを含む。)を説明し、理解を得た上で、その内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない。
二十四 介護支援専門員は、要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けた場合には、指定介護予防支援事業者と当該利用者に係る必要な情報を提供する等の連携を図るものとする。

{二十五 指定居宅介護支援事業者は、法第百十五条の二十三第三項の規定に基づき、指定介護予防支援事業者から指定介護予防支援の業務の委託を受けるに当たっては、その業務量等を勘案し、当該指定居宅介護支援事業者が行う指定居宅介護支援の業務が適正に実施できるよう配慮しなければならない。}

いかがですか?

個人的には、7号、9~11号はともかくとして、13号のモニタリング規定は、もう少し柔軟に取り扱う文言に代える余地を設けてもよいように思いました。

特に、「特段の事情のない限り」を厳しく制限的に解釈しがちな自治体(私はアホ自治体などと批判していますが)が問題になったこともあり、国がこの文言規制を続けるのなら、アホ自治体に対する監視の目も緩めるべきではないと思います。

14号が「参酌すべき基準」となり、柔軟な運用の可能性が出てきたことは結構かと思います。
ただ、だからといって、必要な場合も(この判断が難しいのでしょうが)サービス担当者会議等を長期にわたって開催しないケアマネが出たりしないように。

やや意味がわかりにくいのが、15号。

「第三号から第十一号までの規定は、第十二号に規定する居宅サービス計画の変更について準用する。」
というのが「従うべき基準」となっていますが、そのうち3号から6号まで、それに8号は「従うべき基準」ではないのですよね。

12号で準用する計画変更の際、7号、9~11号を準用することが「従うべき基準」という意味でしょうか。

そのほかのツッコミどころもあるような気がします。