「特定事業所加算事業所」の怪

第39回社会保障審議会介護保険部会(平成23年10月31日)の資料4に、
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tg46.html  (←リンクが間違っていたので11/7訂正しました)
「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する基礎調査」の一部が出ていました。

第79回社会保障審議会介護給付費分科会(2011年9月5日)にも出ていた資料です。
その中に、事実としたら、ちょっと見過ごせないデータが出ていました。



「事業所内でのケアプラン検討会などの開催頻度」(事業所内勉強会・ケアプラン検討会)

【事業所内勉強会の開催頻度】
・月に2回以上開催している事業所は全体の26.0%、月に1回程度開催している事業所は32.1%、月に1回未満開催している事業所は23.4%、実施していない事業所は16.8%であった。
特定事業所加算取得事業所では、未取得事業所に比べて開催頻度が多かった。

【事業所内ケアプラン検討会の開催頻度】
・月に2回以上開催している事業所は15.9%、月に1回程度開催している事業所は23.8%、月に1回未満開催している事業所は25.8%、実施していない事業所は31.9%であった。
特定事業所加算取得事業所は、未取得事業所に比べてなどの開催頻度が多かった。

〔出典〕株式会社日本総合研究所「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する基礎調査(中間報告)」(平成23年9月)
イメージ 1
図は、コンパクトにするため、その他の理由で、引用者が加工しています。


居宅介護支援の特定事業所加算の算定要件には、


利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項に係る伝達等を目的とした会議を定期的に開催すること。


というものがあります。(報酬告示)
そして、留意事項通知には、次のように記されています。


「利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項に係る伝達等を目的とした会議」は、次の要件を満たすものでなければならないこと。
 ア 議題については、少なくとも次のような議事を含めること。
  (1)現に抱える処遇困難ケースについての具体的な処遇方針
  (2)過去に取り扱ったケースについての問題点及びその改善方策
  (3)地域における事業者や活用できる社会資源の状況
  (4)保健医療及び福祉に関する諸制度
  (5)ケアマネジメントに関する技術
  (6)利用者からの苦情があった場合は、その内容及び改善方針
  (7)その他必要な事項
 イ 議事については、記録を作成し、二年間保存しなければならないこと。
 ウ 「定期的」とは、概ね週一回以上であること。


定義の仕方にもよりますが、
少なくとも「事業所内ケアプラン検討会」は(1)や(2)に該当すると考えられますし、
「事業所内勉強会」に至っては、その他の多くの項目に該当する可能性があります。

なのに、特定事業所加算IIを算定している事業所の10.6%が「ケアプラン検討会」を実施しておらず、
2.5%が「事業所内勉強会」すら実施していない

特定事業所加算Iを算定している事業所に至っては、加算IIより多くの報酬を得ていながら、
14.3%が「ケアプラン検討会」を、4.1%が「事業所内勉強会」を実施していない。

そういう調査結果です。

毎回、通知(ア)の7項目の全てについて会議することまでは義務づけされていないにしても、
たとえば月4回(週1回)、7項目を順番に実施するとすれば、単純計算で2か月に1回強は全ての項目について実施していることになるはずです。
 
まして、ケアプラン検討会は、加算の要件になかったとしても必要性は高いはずです。
複数のケアマネがいる居宅介護支援事業所では。

これでは加算の要件を満たしているといえるのか、おおいに疑問があります。