日野原Dr.と砂川啓介さん

105歳、延命望まず=「人のため現役続行」―日野原さん、家族にみとられ

時事通信 7/18(火) 17:01配信)
 高齢者がいつまでも活躍できる社会づくりを提唱した聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんが18日午前、呼吸不全のため105歳で亡くなった。

 現役医師としての勤務は70年余り。最期は延命措置を望まず、東京都内の自宅で家族らに見守られながら静かに人生の幕を閉じた。

 日野原さんの次男直明さん(69)は同日、都内で取材に応じ、「延命はしないという本人の強い意志だった。無理に命を残す治療に反対していた」と明かした。

 3月下旬から自宅療養を続け、10日前から流動食しか受け付けなくなった。療養中は周囲に「ありがとう」と言葉を掛け、最期は「苦しまず、安らかに眠るように亡くなった」という。

 記者会見した同病院の福井次矢院長によると、日野原さんは20歳で患った肺結核の後遺症で両肺の機能が低く、数年前からは心臓機能などが低下。食物の経口摂取が難しいため、院長が3月20日にチューブで胃に栄養を送る胃ろうを勧めると、「それはやらない」と明言された。

 2012年に100歳で役職を退いた後も、昨年まで緩和ケア病棟を車いすで回り、患者に声を掛けた。「あと10年生きて、いろんなことがしたい」とも話していた。6年制の医学部と異なり、大卒者が学べる4年制のメディカルスクール構想を持っていたという。

 福井院長は「最期まで『つらいところはないですか』と耳元で何度も尋ねたが、そのたびに首を横に振る。すごい人だと思った」と話す。「『死とは生き方の最後の挑戦』などの言葉が印象深い。望ましい人の生き方、人生の終え方を提言され、まさに自ら実践されて生を終えられた」と評した。

 直明さんは「何にでも好奇心があり、(1970年に起きた)よど号ハイジャック事件以降は残りの人生を人のため、自分を捨てて生きていた」と語った。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170718-00000072-jij-soci


最後の一文はどういう意味かわからない方も(特に若い人の中には)いらっしゃると思いますが、ハイジャック事件の飛行機の乗客のひとりだったんですよね、日野原さんが。


さて、もうひとつの訃報です。

砂川啓介さん死去 80歳 認知症の妻・大山のぶ代を残し…

スポニチアネックス 7/18(火)12:25配信)
 俳優の砂川啓介(さがわ・けいすけ、本名山下啓一=やました・けいいち)さんが11日午前4時10分、尿管がんのため東京都港区の病院で死去した。80歳。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170718-00000092-spnannex-ent


以下、記事では大山さんの敬称を略して記述されていますが、事実上、声優の第一線を退いた大山さんを呼び捨てにすることに私は抵抗があるので、記事の内容を多少加工して続けます。

砂川さんは「ドラえもん」の声で知られる大山のぶ代さんの夫です。

多くの方がご存知のように、大山さんは08年に脳梗塞を発症。その後、認知症と判明し、砂川さんは15年5月に会見を開いて大山さんの認知症を公表、献身的に介護を続けていました。砂川さん自身は13年に初期の胃がんの手術を受け、さらに16年6月の講演会では同4月に尿管がんと診断されたことや、大山さんが老人ホームに入所したことも明らかにしていました。

15年に発売した著書で、壮絶な介護生活をつづった「娘になった妻、のぶ代へ」では、夫婦対談で「病気の君を置いて先には死ねないよ」と伝えていた砂川さん。大山さんを置いての「無念の旅立ちとなった。」と記事にあります。


まあ、一般的な受け取り方としては「無念」ということになるのでしょう。
砂川さんご本人が、最期のときに本当はどのような心境だったか、ということについては、推測するしかありません。

でも、世の中にいろいろなことを発信したり、多くの人々にいろいろ考える材料(認知症のことを含め)を残したり、何より可能な限りの介護を続けたり、ということでは、一種の充実感のようなものがある人生だった、と思われたかもしれません。

残された大山さんに、砂川さんの死去を伝えないべきか、など、ネット上でも議論があるようです。

そういうことを含めて、大山さんのような方にどのような支援を提供していくか、ということが、介護業界や行政などに残された課題ともいえましょう。


前後しましたが、日野原さんの人生については、私などがコメントするまでもないことでしょう。
経管栄養を断ったことも、「らしいな」と思いました。

もっとも、経管栄養が必要な方、必要な場合も多数あるので、経管栄養を全否定するつもりは全くありません。


おふたりのご冥福をお祈りするとともに、いろいろなことを世の中に残してくださったことに感謝申し上げます。