民法改正16・債権等の消滅時効


<改正前>

消滅時効の進行等)
第百六十六条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
2 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

(債権等の消滅時効
第百六十七条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2 
債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。


<改正後>

(債権等の消滅時効
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
 一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
 二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効
第百六十七条 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。


↑改正前は、消滅時効は権利を行使できるときから進行していました。そして、債権は10年間、私権又は所有権以外の財産権は20年間権利を行使しないと時効で消滅しました(相手が時効を援用した場合)。
改正後は、債権については権利を行使できるときから10年経過で消滅時効にかかるのは同じですが、「権利行使できることを知ったときから5年間」で消滅させることも可能となりました。

ただし、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権については(これは「債権」の一種ですが)、権利行使できるときから「10年間行使しないとき」ではなく「20年間行使しないとき」に延びました。
「権利行使できることを知ったときから5年間行使しないとき」という要件の方は、延びません。

(たぶん、つづく)