たかだか明治以降のこと


と書くと、やっぱり違和感があるので、「譲位」と書きますね。

天皇の生前の譲位自体は、歴史上、多くの例があります。
(亡くなる直前の譲位もあり、数え方はいろいろ考えられますが、歴代の半数近くとも。)

光格天皇から仁孝天皇への譲位(西暦では1817年)が最後で、200年間なかった、という報道もありますが、天皇家の長い歴史からすれば、わずか200年ともいえます。

というか、譲位がなくなったのは、明治以降のことに過ぎません。
日本の伝統としては、譲位はごく普通のこと。

日本国憲法よりも、日本帝国憲法よりも、改正前の皇室典範よりもずっと古い慣習です。


保守系の人、と、ひとくくりにするのは適当でないかもしれません。
保守系を自称して「自主憲法制定」とか
「夫婦同姓は日本の伝統なので夫婦選択別姓反対」とか主張している人々は、
「日本の伝統」を、明治維新から第二次世界大戦終結(敗戦)までの期間に限定しているような気がします。

1世紀にも満たない期間なのに。

日清、日露、第一次世界大戦など、曲がりなりにも戦勝が続き、国力と領土が増えた時期だったからでしょうかね。

「維新」という言葉がもてはやされるのも多少疑問があります。
(特定の政党や政治家を批判する意図ではありません。)

もちろん、現代や明治期よりも江戸時代以前がよかった、というつもりはありません。

ただ、日本の伝統とかいうのなら、中央集権ではなく(封建制は分類すれば地方分権となる)、夫婦同姓でもなかった江戸期以前のことも含めて考える必要があるでしょう。