「政府関係者」の高齢者虐待

政府関係者「天皇陛下生前退位は無理」

日本テレビ系(NNN)7月15日(金)0時5分配信
 天皇陛下が、生前に天皇の位を皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を持たれていることが明らかになった件で、政府関係者は14日夜、憲法上の問題から「天皇陛下生前退位は無理だ」と述べた。

 政府関係者は14日夜、天皇陛下が生前に天皇の位を皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を持たれていることについて、憲法上の問題から「天皇陛下生前退位は無理だ」と述べ、公務の負担軽減を軸に検討していくべきとの考えを示した。

 陛下の意向があると報じられる中で、皇位継承について定めた皇室典範を変えることが、天皇の国政への関与を禁じた憲法第4条に抵触する可能性を念頭に置いたものとみられる。

 また、「生前退位」という制度を設けることと、摂政を置くことを定めた憲法第5条との整合性を問題視しているとみられる。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160714-00000091-nnn-pol


日本国憲法「第一章 天皇」は次のとおりです。

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 二 国会を召集すること。
 三 衆議院を解散すること。
 四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
 六 大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 七 栄典を授与すること。
 八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
 九 外国の大使及び公使を接受すること。
 十 儀式を行ふこと。

第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

う~ん、第5条が生前退位を禁止(あるいは制限)しているとは読めないですね。

第4条も、国政への口出しはともかく、自分がしんどいわ・・・とか口にしたり(陛下は口にはされないでしょうが)、将来的には今の仕事は無理だわ・・・とかこぼしたり(陛下はこぼされないでしょうが)することが禁止されているとは私には思えません。

そもそも、第1条により「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」のだから、生前退位も「国民の総意」で認めれば問題ないということです。
(閣僚か与党議員か知りませんが)「政府関係者」なる人物が決めることではありません。

そして、第2条により「国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」のですから、国会で皇室典範を改正すればよろしい。

で、もしも、どうしても現行の憲法解釈からは問題がある、ということなら、それこそ憲法解釈を変更すればいいわけです。
閣議決定でも、なんなら国会の議決でも。

今の内閣、解釈変更は得意でしょ?

念のため。
本記事では、集団的自衛権が現行憲法で容認されるかどうかという議論には踏み込むつもりはありません。

第一章でも生前退位は可能、と解釈することと、
第二章(第9条)でも集団的自衛権は可能、と解釈することと、
どちらが容易かといえば前者の方だろうとは思いますが。

それで、どうあっても憲法生前退位が認められない、というような最高裁判決が出たら、
(「政府関係者」なる人物よりは裁判官の方がマシでしょうから、まず出ないとは思いますが)
そのときは、国民の総意で憲法を改正しましょう。


それにしても、この「政府関係者」なる人物の言いぐさ、高齢者虐待になりかねないと思うのですが。