TPP報道・気に入らないこと

<TPP>大筋合意 12カ国、GDP世界の4割

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の閣僚会合が5日午前(日本時間5日夜)閉幕し、交渉参加12カ国は貿易・投資ルールについて大筋合意した。難航が続いていた知的財産などで、最終的に各国が歩み寄り、すべての分野が決着した。今後は各国の国内手続きを経て、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める世界最大の自由貿易圏が誕生する。日本にとっては農産品市場の一層の自由化が迫られる一方で、自動車部品などの輸出拡大が期待される。
毎日新聞 10月5日(月)20時36分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151005-00000066-mai-bus_all


いろいろ立場や考え方はあると思いますが、日本国が貿易立国である以上、経済の総枠では

TPP参加のメリット+不参加のデメリット > 参加のデメリット+不参加のメリット

となるのだろうとは思います。

ただ、気に入らないことはあります。
まず、TPP大筋合意についての報道。

上の毎日以外も含めて、「世界全体のGDPの4割」というところが多いのですが・・・

 2010年3月に始まったTPP交渉は5年半を経て終結し、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な経済圏が誕生することになった。
(読売新聞 10月5日(月)21時7分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151005-00050119-yom-bus_all


(NHK 10月5日 20時39分)
TPPに参加する12か国の経済規模は、世界全体の4割を占めていて、日本政府は、TPPはアジア太平洋地域の新たな貿易・経済活動のルールの礎になるものとして、早期の大筋合意の実現を目指してきました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151005/k10010259701000.html


12カ国の国内総生産GDP)の合計額は世界全体の4割近くを占め、TPPが各国の批准を経て発効すれば、太平洋を囲む巨大経済圏が誕生する。
時事通信 10月5日(月)21時8分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151005-00000154-jij-pol&pos=4


これにより国内総生産で世界の4割近くを占める巨大経済圏がアジア太平洋地域に生まれる道筋がついた。
朝日新聞 2015年10月6日00時00分)
http://www.asahi.com/articles/ASHB555X0HB5ULFA01M.html


 TPPは、モノの関税だけでなくサービス、投資の自由化を進め、知的財産など幅広い分野で21世紀型のルールを構築するもので、アジア太平洋地域に経済規模で世界の4割を占める巨大経済圏が誕生する。
産経新聞 10月5日(月)1時33分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151005-00000500-san-bus_all

36%を「約4割」というのはあまり正確ではないと思います。
政府の「大本営発表」を無批判に使ったのでしょうか?
私なら、「3分の1を超える(上回る)」というぐらいの表現を使いたいところです。
まあ、それでも大した割合ではありますが。


<TPP大筋合意>甘利氏、不安打ち消し躍起

 環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意をした五日、甘利(あまり)明TPP担当相は記者会見をし、TPPに対する消費者の懸念や不安を解消しようと躍起になった。

 甘利氏は輸入量が増えることになる外国の農産品に対する安全性など、消費者から「TPPに対して不安や懸念の声が寄せられたのは事実だ」と認めた。だが、「科学的根拠の説明責任を強化している。食の安心が損なわれることはない」と強調した。ただ、食品添加物の使用や残留農薬、遺伝子組み換え食品の表示義務など、食の安全を守るための方策について具体的な言及はなかった。

 米国から無関税で輸入する七万トンの特別枠が新設されるコメについては「今後、国内対策で万全の措置を講じていく」とし、農家の競争力支援などに取り組む姿勢を強調した。

 また、参加国で異なる国民皆保険制度については「TPPによって制度が崩壊するかのような懸念が寄せられているが、そのような心配もない。(TPPに)公的医療制度の変更を求める規定はない」と述べた。
東京新聞 2015年10月6日 夕刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201510/CK2015100602000247.html

国内農業や残留農薬等は(投票数に直結するだろうから)それなりに対応策がとられる可能性がありますが、皆保険の維持については気になるところです。
政府の「仮訳」を見ましたが、日本語としてわかりにくいし(たしかに公的医療制度の変更については触れていないようですが)。


TPP合意内容 著作権の保護期間70年に

著作権侵害があった場合

著作権侵害があった場合に、原則、作者などの告訴がなくても起訴できるようにする「非親告罪」が導入されることになりました。
著作権の侵害には刑事罰がありますが、日本では、検察などが起訴するためには「親告罪」といって作者など被害を受けた人の告訴が必要です。日本は「非親告罪」について、アニメや漫画などを二次創作した同人誌などの創作活動が取締りを受ける懸念があることから、慎重な姿勢をとってきました。一方、アメリカなど多くの加盟国は、海賊版DVDなどの迅速な取締りにつながるとして、告訴がなくても起訴できる「非親告罪とすることを求め、導入が決まりました。ただ、著作物の収益に大きな影響を与えない場合は非親告罪の適用の例外とする一定の配慮も盛り込まれました。
(NHK 10月6日 0時13分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151006/k10010259991000.html

この「非親告罪」化も、けっこう気になります。
著作権者が著作権侵害と思っていなくても、公的機関(警察等)が独自判断で取り締まるようにならないか、(仮にそういうことが実際にはないとしても)取り締まられないか不安になった二次創作者たちが萎縮して自主規制してしまわないか、日本文化(サブカルチャーも含め)の維持の点からも懸念が残ります。

そういえば、うちのブログでもいろいろな著作物(ネット上の記事など)を引用しています。
自分では著作権法上、許容される範囲と考えて引用していますが、いきなり逮捕されたりしないかなあ?