自動車税を下げる方法

消費税率アップにからみ、自動車取得税軽自動車税の扱いについて、いろいろ議論されています。

で、平成22年ですが、「自動車関係税制に関する研究会報告書」というものもあります。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000082119.pdf#2

以下、「第6節 車検時徴収」を抜き出し。

 自動車税は、毎年度、納税通知により賦課徴収され、4月1日時点での所有者が1年分の税を納税することとされている(年度徴収)。一方、自動車重量税は、車検(新規検査、継続検査等)時において、自動車の使用者が自動車検査証(いわゆる車検証)の有効期限分の税を納税することとされている(車検時徴収)。
 環境自動車税について、徴税コストの観点から車検時徴収を導入してはどうかとの意見がある。課税庁にとって、年度徴収を行っている現行の自動車税は、賦課期日である4月1日から納期である5月までの間に大量の納税通知書を発行しなければならないこと、また、滞納額の割に滞納件数が多いことから、事務負担が大きい税目とされている。車検時徴収を導入した場合、納税通知書の打ち出しや発布が不要となるだけでなく、滞納事例がなくなり、滞納整理に要する事務が不要となることから、課税庁の事務の大幅な効率化・省力化が期待できるとされている。(資料45~48)
 一方、研究会の議論では、会計年度独立の原則に鑑みても、そもそも税の賦課徴収は毎年度行われることが基本であり、2~3年ごとに行われる車検にあわせて徴収を行うことには問題があるとの意見があった。
 また、車検時徴収を導入する考え方について、環境自動車税の性格を環境損傷負担金的性格と財産税的性格と位置付ける場合に、車検時徴収を行うことを税の性格上整理できるのかとの意見もあった。
 さらに、環境自動車税を車検時徴収することとした場合、従来であれば、次年度以降に納付すればよい税額をあたかも先取りされたように感じられることとなりかねない。その他にも、これまで多くの実務的課題が指摘されてきており、改めて論点を整理すると以下のとおりとなる。

(納税者の痛税感に関する課題)
 車検時徴収を導入した場合、新車新規登録・継続検査(車検)の際に複数年度分の自動車税自動車重量税を一括で納税することとなり(乗用車の場合、新車新規登録で3年分、継続検査で2年分を一括で納付)、大幅に納税者の痛税感が増加することが予想される。(資料49・50)

(技術的な課題)
・申告・納付場所に関する課題
 現在の車検制度では、継続検査(継続車検)の場合は任意の陸運支局において遠隔地車検を行うことができるため、車検時徴収を導入する場合、課税権を有する都道府県と実際に納税される都道府県が異なり得るという課題がある。

・複数年度分の徴収に関する課題
 車検の有効期間中に県域を越える転出入があった場合に、翌年度分以降の先取りした税を都道府県間で精算する事務が発生するという課題がある。

・納税義務者に関する課題
 道路運送車両法(昭和26 年法律第185 号)上の車検の受検義務者(使用者)と自動車税の納税義務者(所有者)が異なるという課題がある。

 上記に掲げるとおり、車検時徴収の導入に当たっては数多くの課題があり困難な面があるが、一方で、研究会の議論においても、事務を効率化し、徴収コストを節減していく観点は非常に重要であり、今後の徴収体制のあり方も含めた見直しが行われるべきという意見があり、引き続き検討を続けていくことが期待される。

この報告書に関連して、
「車検時徴収によるコスト低減額は、約680億円」と試算したブログもあります。
http://blog.livedoor.jp/parapara234/archives/3737934.html


自動車税の徴収も経験した人間としていえば、現行の自動車税の賦課徴収制度は、かなり効率が悪いです。
(以下、軽自動車税も含めての考察とお考えください。)

・納税通知書の発送(課税対象車両所有者の全員)
・督促状の発送(納期限から一定期間経過後の未納者全員)
・各種催告書の発送(だんだん減ってはいるが、なかなかゼロにはならない未納者)
・電話などによる催告
・財産調査(金融機関その他)
・財産差押えなど滞納処分に要する経費

郵送料、電話代、そして何よりも公務員の人件費。

実感としては、680億どころではないような。

車検時徴収にして、自動車税の賦課徴収にあたる職員を減らせば、税額そのものを減らせるでしょう。

正確なコスト計算はしていませんが、2000CCまでの現行39,500円クラスなら、少なくとも500円。
ひょっとしたら、減額幅は4桁(千円か何千円か)になるのでは?

報告書にある「技術的な課題」は、すべて対応可能と思います。

問題は、納税義務者が2~3年分を1度に納付できるか。

ただ、自動車税を含めた所有コスト総合計が減るのなら、それなりの対応策はあると思います。

私がディーラーなら、「自動車税の軽減記念セール」みたいなキャンペーンをやって、
車のローンの中に自動車税立て替えコストも織り込むようなことを考えるかもしれません。
(税の延滞金はかなり高い「利率」であることに留意。まあ、来年の1月から多少は下がるようですが。)