運転する障害者や要介護(支援)者

とある事情があって、某BBSでの書き込みを思い出しました。

2003年のことなので、まだ「要支援1」という名前になる前の「要支援」の認定を受けている方の話です。

・左膝関節症のため、立ち上がり困難で立位も支えが必要。
・歩行は杖歩行か、伝い歩き。
・車の運転ができるが、乗降時は運転席でも助手席でも介助。
・週に1回くらい車を運転して、家族(長男の嫁)が同行しスーパーへ買い物に行かれる。

運転しているところを、たまたま通りかかった保険者の認定係の職員が見かけて、担当のケアマネのところへ電話があったそうです。

「車の運転ができる人が、どうして介護認定を申請するのか」
「更新手続きをしても、この次は認めない」
というようなことを言われたが、
車の運転ができれば申請できないということは聞いたことがないし、日常生活のADLでは介助を要する場面もあり、納得できない。

という内容のスレ立てでした。


<1番目のレスの方>(実は、けっこう有名な方です。ご無沙汰していますが、お元気ですか?)
私の母は「要介護1」です。
車の運転もしますし、仕事もしています。
週2回「生活援助」のサービスを受けてますよ。


<2番目のレスの方>
 この認定担当のかたは、二つの点で業務の基本をまちがえています。第一に「認定」は、この職員の権限などでおこなうものではなく、「ものを知らないがゆえに疑問」をもったとしても、ただちに担当ケアマネに電話するなど(確認の電話ではなく、権限をひけらかすような)、越権行為です。第二に、「車の運転と認定」について、きちんと勉強して調べてから、ことを起こせばいいのに、感情的とも言えるアクションです。公務員としてきわめて不適切だと思います。


<3番目のレス(私です)>
障害者福祉の世界では、介護を要する人が自分で運転するのは珍しいことではないのですけどね。
ちなみに、税に携わる公務員でも常識です。(自動車税の障害者減免には本人運転の場合も含まれるので。)


<スレ立ての方>
皆様、どうもありがとうございました。

本日、もう一度お話を伺ってきました。
電話をくれた方の上司から、<2番目のレスの方>が仰るように越権行為であったと認めていただきました。
しかし、当市の財政難から、介護保険課全体に「車の運転ができるような人の認定はちょっと・・・・」という空気があったようです。

私自身の感情的にはまだ、釈然としない部分もありますが、とりあえずは一件落着?にしておきます。


抜粋・・・のつもりで、大部分の引用になってしまいました。


ついでに、自分の別の書き込みを発掘してきました。

1. 「在宅頸髄損傷者」の調査結果では、「自動車を運転できるが、車いすから自動車への移乗に介助者を必要とする」【介助付き運転】に属する人がいる。高位頸損者で3%、下位頸損者で7%、対麻痺者で8%報告されている。

2. 介助者無しに自動車に乗降し、運転する「無介助運転」の中には、自動車の乗降が出来ても、車いすを自力で積み込むことが出来ず、勤務先や外出先に車いすを預けておいた車いすを使用している人も含んでいる。

「日本せきずい基金」HPより
http://www.normanet.ne.jp/~JSCF/SIRYOU/KURUMA.htm


認知症の方など、運転することが明らかに不適当な方はあります。

ただ、障害者、要介護(支援)者の中には、

日常生活に支援は必要だが(改造車を含めて)車の運転は十分可能

という方も、けっして少なくありません。

いわゆる健常者でも、亀岡の事件のような無謀運転は、残念ながら起こり得るのですが。