介護予防サービスの目標

以前、居宅サービス計画の長期目標、短期目標について書いたことがありました。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/21531480.html

今回は、介護予防サービス計画や個別のサービス計画の目標について確認してみます。

居宅サービスの場合、基準省令(平成11年厚生省令第38号)には、「長期目標」「短期目標」という考え方は出てきていませんが、解釈通知(平成11年7月29日付け老企第22号)で、次のように示されています。
当該居宅サービス計画原案には、利用者及びその家族の生活に対する意向及び総合的な援助の方針並びに生活全般の解決すべき課題を記載した上で、提供されるサービスについて、その長期的な目標及びそれを達成するための短期的な目標並びにそれらの達成時期等を明確に盛り込み、当該達成時期には居宅サービス計画及び各指定居宅サービス等の評価を行い得るようにすることが重要である。

また、平成11年11月12日付け老企第29号でも、
[2]「目標(長期目標・短期目標)」
[3](「長期目標」及び「短期目標」に付する)「期間」
で、長期目標・短期目標について触れられています。


では、介護予防サービス計画について。

基準省令(平成18年厚生労働省令第37号)第30条第8項
 担当職員は、利用者の希望及び利用者についてのアセスメントの結果、利用者が目標とする生活、専門的観点からの目標と具体策、利用者及びその家族の意向、それらを踏まえた具体的な目標、その目標を達成するための支援の留意点、本人、指定介護予防サービス事業者、自発的な活動によるサービスを提供する者等が目標を達成するために行うべき支援内容並びにその期間等を記載した介護予防サービス計画の原案を作成しなければならない。

解釈通知(平成18年3月31日付け老振発第0331003号・老老発第0331016号)
 担当職員は、介護予防サービス計画が利用者の生活の質に直接影響する重要なものであることを十分に認識し、目標指向型の介護予防サービス計画原案を作成しなければならない。したがって、介護予防サービス計画原案は、利用者についてのアセスメントの結果、利用者が目標とする生活、利用者及びその家族の意向を踏まえ、当該地域における指定介護予防サービス、指定地域密着型介護予防サービス等が提供される体制を勘案した上で、実現可能なものとする必要がある。
 また、当該介護予防サービス計画原案には、目標、目標についての支援のポイント、当該ポイントを踏まえ、具体的に本人等のセルフケア、家族、インフォーマルサービス、介護保険サービス等により行われる支援の内容、これらの支援を行う期間等を明確に盛り込み、当該達成時期には介護予防サービス計画及び各指定介護予防サービス、指定地域密着型介護予防サービス等の評価を行い得るようにすることが重要である。

ということで、「長期目標」「短期目標」という概念は示されていません。

「介護予防支援業務に係る関連様式例の提示について」(平成18年3月31日付け老振発第0331009号)では、次のような記載になっています。

[12]「目標とする生活」
 利用者が今後どのような生活を送りたいか、利用者自身の意思・意欲を尊重し、望む日常生活のイメージを具体的にすることで、利用者が介護予防へ主体的に取り組む動機付けとなる。
 この欄には、必要に応じて計画作成者が上記のような支援を行いつつ、利用者にとっては介護予防への最初の取り組みである「目標とする生活」のイメージについて記載する。
 具体的にどのような生活を送りたいかは、1日単位でも、1年単位でも、よりイメージしやすい「目標とする生活」を記述する。漠然としていて、イメージできない場合は、毎日の生活の中でどのようなことが変化すればよいのか、イメージしやすい日常生活のレベルでともに考える。計画を立て終わった時点では、全体像を把握した上で、再度利用者と修正するのは差し支えない。1日及び1年単位の両方記載しなければならないものでなく、また、両者の目標に関係がなければならないものではない。
 「1日」は、大きな目標にたどり着くための段階的な目標である場合や、健康管理能力や機能の向上・生活行為の拡大・環境改善など、様々な目標が設定される場合もあり得る。また、利用者が達成感・自己効力感が得られるような内容が望ましい。
 「1年」は、利用者とともに、生きがいや楽しみを話し合い、今後の生活で達成したい目標を設定する。あくまでも、介護予防支援や利用者の取り組みによって達成可能な具体的な目標とする。計画作成者は利用者の現在の状況と今後の改善の可能性の分析を行い、利用者の活動等が拡大した状態を想像してもらいながら、その人らしい自己実現を引き出すようにする。

そして、
[18]「課題に対する目標と具体策の提案」
[19]「具体策についての意向本人・家族」
[20]「目標」
と続きますが、やはり、居宅サービス計画でいうような「長期」「短期」という目標設定ではありません。

ちなみに、
1日単位でも、1年単位でも、よりイメージしやすい「目標とする生活」を記述する。
1日及び1年単位の両方記載しなければならないものでなく、また、両者の目標に関係がなければならないものではない。
とあるように、

長期目標:1年、短期目標:1日というものではありません。


補足です。

介護予防訪問介護のような個別サービスの計画についても、基準省令や解釈通知には「長期目標」「短期目標」という記述はありません。

ただし、介護予防通所介護の運動器機能向上加算で、留意事項通知(平成18年老計発第0317001号・老振発第0317001号・老老発第0317001号)に
理学療法士等が、暫定的に、利用者ごとのニーズを実現するための概ね3月程度で達成可能な目標(以下「長期目標」という。)及び長期目標を達成するための概ね1月程度で達成可能な目標(以下「短期目標」という。)を設定すること。長期目標及び短期目標については、介護予防支援事業者において作成された当該利用者に係る介護予防サービス計画と整合が図れたものとすること。
とあるように、加算算定上の条件とされる場合はあります。