デイの生活相談員の休憩

通所介護生活相談員が昼食などで休憩を取るとき、代替の生活相談員を配置しなければならない」
という見解の自治体があるようです。

では、通所介護を含めた居宅サービスについての基準省令(平成11年厚生省令第37号「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」)を見てみましょう。

第93条 指定通所介護の事業を行う者(以下「指定通所介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定通所介護事業所」という。)ごとに置くべき従業者(以下この節から第四節までにおいて「通所介護従業者」という。)の員数は、次のとおりとする。
 一 生活相談員 指定通所介護の単位ごとに、その提供を行う時間帯(以下この条において「提供時間帯」という。)を通じて専ら当該指定通所介護の提供に当たる生活相談員が一以上確保されるために必要と認められる数
(以下略)

なんだか、わかりにくい表現ですね。

解釈通知(平成11年老企第25号「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」)を見ても、この件についての補足の説明はありません。

 生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項に定める生活相談員に準ずるものである。

これは、資格要件(社会福祉主事任用資格か、それと同等以上)を指すもので、配置基準(勤務時間など)を指すものではありません。

特養の生活相談員は常勤である必要はありますが、サービス提供時間帯を通じて(つまり、普通の特養なら24時間365日)配置する義務はありませんから、もともと参考にはなりません。

この問題をわかりにくくしていることの一因に、通所介護生活相談員については、役割が明確には規定されていない、ということがあるかもしれません。

実は、基準省令には、生活相談員がどういう役割を担うべきかは書かれていません。

解釈通知にも、

利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。
程度のことしか書かれていません。

平成12年老発第214号「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」の中には、

基準第5条(職員の資格要件)第1項及び第2項は、施設長及び生活相談員について、その有すべき資格を定めたものであるが、このうち「同等以上の能力を有すると認められる者」とは、社会福祉施設等に勤務し又は勤務したことのある者等であって、その者の実績等から一般的に、施設長にあっては特別養護老人ホームを適切に管理運営する能力を有すると認められる者、生活相談員にあっては、入所者の生活の向上を図るため適切な相談、援助等を行う能力を有すると認められる者をいう。

と書かれています。

また、退所して在宅復帰できるかという検討、退所が可能になった場合に退所後の主治医や介護支援専門員などとの連携を図ることについて言及されています。

あとは、なんちゃら委員会の構成メンバーとして位置付けられている程度でしょうか。

まあ、特養は24時間の生活の場ですから、生活相談員の必要性は理解しやすいところです。

ですが、週何回か(しかも昼間のみ)通うだけの通所介護で、特養と同等程度の生活相談員が必要か、疑問を感じる向きもあるかもしれません。

仮に、

利用者(あるいは家族)からの相談に応じるのが仕事

とすると、

昼食休憩を取っていたとしても相談の必要性が生じたときに対応できる態勢なら、
「指定通所介護の単位ごとに、その提供を行う時間帯を通じて専ら当該指定通所介護の提供に当たる生活相談員が一以上確保され」ている
という考え方も可能です。

休憩時間なので、※※時までは生活相談員には連絡が取れません

という対応なら別でしょうが。

なお、これは、こういう考え方もできる(だから、「休憩時間に代替の生活相談員を配置する必要はない」という自治体の指導は特に違法とはいえない)という意味で書いてみました。

通所介護生活相談員がどのような役割を求められているか、ということを明確にせずに基準を作った国の責任、という考え方も可能かもしれません。