パブコメ~要介護認定等基準時間(1)

「今さら感」があって、迷っていたのですが、一応、これも記事にしておきます。

「要介護認定等基準時間の推計の方法(平成12年厚生省告示第91号)の一部を改正する件」に対して寄せられた御意見について

平成21年3月31日
厚生労働省老健局老人保健課

 標記について、平成21年1月30日から3月2日までホームページを通じて御意見を募集したところ、59名から86件の御意見を頂きました。
 お寄せいただいた主な御意見とそれらに対する当省の考え方について、以下のとおり御報告いたします。なお、とりまとめの都合上、いただいた御意見は、適宜集約して掲載しています。
 また、意見募集の対象外の御意見につきましては、個々の回答はいたしませんが、お寄せいただいた御意見に関しましては、今後の参考とさせていただきたいと考えております。
 御意見をお寄せいただきました方々の御協力に厚く御礼申し上げます。


頂いた御意見の概要と当省の考え方


<御意見>
○要介護認定等基準時間の推計の方法は、なぜ変更になるのか。何を根拠に決めるのか全く理由がわからない。
<回答>
(「現行の要介護認定等基準時間を推計するために用いる考え方以下樹形図」という。)は平成13年のデータを使用しており、介護の実態を反映していないのではないかとの指摘がありました。
 今回の改正は、こうしたご意見を踏まえ、最新のデータを取り込み、介護の状況をより的確に反映させるため、
① 平成19年に厚生労働省が実施した高齢者介護実態調査におけるタイムスタディ調査
② 2度にわたるモデル事業
③ 公開の要介護認定調査検討会における6回にわたる御議論
を経て、実施したものです。
 また、樹形図の作成については、最新の高齢者介護実態調査のデータを基に、介護にかかる手間をより正確に反映するよう、統計的な処理により作成されたものです。

<御意見>
○なぜ、認定調査項目の変更が必要なのか説明がない。
<回答>
 認定調査項目の変更については、ケアにかかる手間をより正確かつ効率的に推計できるよう、現在の項目(82項目)に要介護認定に有効ではないかと推測された多くの候補項目を加えた後に、介護の手間の程度と関連の深い項目の選出等にあたり、公開の場で検討を行うとともに、関係団体からの意見にも配慮を行いながら適切に選定したものです。

<御意見>
○現行の7群の問題行動に関する認定調査項目の「幻視幻聴」、「暴言暴行」、「火の不始末」、「不潔行為」、「異食行動」などの削除により、認知症の方の認定が低く出てしまうのではないか。
<回答>
 御指摘の「幻視幻聴」等の項目については、これらを用いない場合でもコンピュータによる介護に要する時間の推計の精度にほとんど影響がなく、また、主治医意見書に同じ項目があることから、認定調査項目から削除しても適切な判断が可能と考えています。さらに、調査員が記入する認定調査票においても認知症高齢者の日常生活自立度に関する特記事項の記入欄を設け、「幻視幻聴」等の認定調査項目に含まれていない認知症に関連する症状について記載して、介護認定審査会へ情報提供する機会を増やしています。このようなことから、御指摘のようなおそれはないものと考えます。

<御意見>
○認定調査項目に「買い物」と「簡単な調理」が入ったことは、生活上での困難性がわかりやすくなってよい。
<回答>
 認定調査項目については、現行の82項目に加え、介護の手間を推計するために有効ではないかと考えられる多くの候補項目を加えた上で、実際の介護の手間との関連を分析して選出し、ご指摘のような改正を行いました。

<御意見>
○新認定調査項目において、第1群や第2群及び第5群の多くの項目の選択肢にある「自立(介助なし)」、「できる(介助なし)」は、介助について聞いている項目なので変更すべきではないか。
<回答>
 認定調査項目のうち、介助の程度を問う16項目の選択肢について、「申請者の能力を問うているかのような誤解を与えかねない」との関係団体等からの御意見を踏まえ、「介助されていない」と修正しました。

<御意見>
○食事、排泄、移動、清潔保持の4つの樹形図の末端付近で、麻痺がある方が基準時間が短くなるという逆転現象が存在する。このような不合理な逆転現象が樹形図の末端で出現する場合は、樹形図の枝を1つにまとめるなどして、適宜補正するべきではないか。
<回答>
 樹形図は、同じ特性をもった人たちがどれだけ介護に時間を要するかを推計するものです。樹形図をたどる際に関与したすべての調査項目のなかから介護に要する時間が算定されるため、一つの分岐における調査項目の結果の軽重だけからのみ介護に要する時間の長短が決まるわけではありません。介護の手間全体としては逆転現象は生じておらず、介護の手間を正確に反映するものとなっていると考えます。

<御意見>
○現在の樹形図は、視力が良好であることが前提に開始されています。全盲など視力障害者の場合、環境が変わったりすると一人ではどこになにがあるのかを認識できず、自分では着衣などできないが、そのような点が全く考慮されていない。
<回答>
 樹形図を作成する基礎データである介護にかかる手間をタイムスタディにより測定した高齢者介護実態調査では、視力が低下しておられる方も含まれており、必ずしも視力が良好な方だけを選定しているわけではありません。また、視力に障害がある場合に必要となる「上衣の着脱」、「つめ切り」など、実際に行われている介助等も樹形図には反映されており、ご指摘のような懸念は考えにくいと思われます。


ちなみに、私が送った意見は・・・(次の記事へ)