カンジダ菌は細菌ではない

チコちゃんに叱られる!」を見て、ちょっと気になりました。
全国的には昨日(21日)に放送されて、関西ではローカル番組のために今日の普段の再放送枠で放送された回です。

 

「ストレスで甘いものを食べ過ぎるのはなぜ?」
のところで、腸内細菌として3種類の菌が紹介されていました。

善玉菌:ビフィズス菌や乳酸菌など。
悪玉菌:ウェルシュ菌など。
そして「普通の菌」として、カンジダ菌が登場。
普段は悪さしないが、ときに大繁殖して悪さをする、というもの。

 

まあ、内容はともかくとして、カンジダ菌を他の2種と並べて腸内細菌として説明するのは間違いでは?

 

ビフィズス菌、乳酸菌、ウェルシュ菌などは細菌、バクテリアです。

一方、カンジダ菌はカビやキノコの仲間で、バクテリアとは別の系統の生物。
カビやキノコの仲間を、細菌と区別するために「真菌」と呼んだりします。

 

また、細菌と似た「古細菌」というカテゴリー(ドメイン)もあるので、バクテリアのことを「真正細菌」と呼ぶこともあります。
古細菌の方が真正細菌より古い存在、と思われたこともあったようですが、現在の見解ではそうではないようです。)

 

カンジダ菌も腸内にはいますが(他に膣内などにもいる)、少なくとも「腸内細菌」の中にカンジダ菌を含めるのは、正確さを欠くと思います。

 

まあ、過去の「海の水がなくならない理由は?」の理由として説明されたことについて、科学者等から批判があったりもしますし、必ずしも学術的正確さを追及するような番組ではないのでしょうが、これから科学を勉強していく子どもたちも多数見ている番組でしょうからねえ。

チコちゃん、というよりスタッフがボーっとしていたのかもしれませんが。

 


さて、ここからは勉強中の付け焼き刃。

もともと真正細菌古細菌があって、それらのおおもとの共通祖先があったようですが、まだはっきりはしていないようです。
そして、私たちヒトを含めた真核生物は、古細菌の一部から進化したと考えられています。
その際、何らかの原因で、古細菌真正細菌を取り込んだ、言い方を変えれば、古細菌の中に真正細菌が入り込んでしまい、そこから真核生物の歴史が始まった、という考え方が超有力のようです。

 

 

ついでにいえば、単細胞の真核生物、原生動物とか原生生物とかいわれた多数の生物の中から、植物や真菌、動物などの多細胞生物が進化しましたが、ヒトを含む動物(原生動物などに対して後生動物とも)は、植物よりは真菌の方に近い系統のようです。
まあ、この上の図は面倒くさいところをかなり省略した簡略版ですが、ビフィズス菌などとカンジダ菌とが系統的にとても離れていることはわかります。