居宅療養管理指導費(2) 薬剤師

ロ 薬剤師が行う場合
(1)病院又は診療所の薬剤師が行う場合
 (一)在宅の利用者に対して行う場合 550単位
 (二)居住系施設入居者等に対して行う場合 385単位
(2)薬局の薬剤師が行う場合
 (一)在宅の利用者に対して行う場合 500単位
 (二)居住系施設入居者等に対して行う場合 350単位

注1 (1)(一)及び(2)(一)については、在宅の利用者(老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム若しくは同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム若しくは高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則(平成13年国土交通省令第115号)第3条第6号に規定する高齢者専用賃貸住宅に入居若しくは入所している者又は法第8条第17項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、法第8条第18項に規定する認知症対応型共同生活介護を受けている者(以下「居住系施設入居者等」という。)を除く。以下この号において同じ。)であって通院が困難なものに対して、(1)(二)及び(2)(二)については、居住系施設入居者等であって通院が困難なものに対して、指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、医師又は歯科医師の指示(薬局の薬剤師にあっては、医師又は歯科医師の指示に基づき、当該薬剤師が策定した薬学的管理指導計画)に基づき、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導を行い、関係職種への必要な報告及び情報提供を行った場合につき、1月に2回(薬局の薬剤師にあっては4回)を限度として算定する。ただし、薬局の薬剤師にあっては、別に厚生労働大臣が定める者に対して、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導等を行った場合は、1週に2回、かつ、1月に8回を限度として算定する。

【H12告示23】

六 指定居宅サービス介護給付費単位数表の居宅療養管理指導費のロの注1の厚生労働大臣が定める者
 次のいずれかに該当する者
 イ 末期の悪性腫瘍の者
 ロ 中心静脈栄養を受けている者

 2 疼痛緩和のために別に厚生労働大臣が定める特別な薬剤の投薬が行われている在宅の利用者又は居住系施設入居者等に対して、当該薬剤の使用に関する必要な薬学的管理指導を行った場合は、1回につき100単位を所定単位数に加算する。

【H12告示23】

七 指定居宅サービス介護給付費単位数表の居宅療養管理指導費のロの注2の厚生労働大臣が定める特別な薬剤
 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号に規定する麻薬

【H12老企36】

(2)薬剤師が行う居宅療養管理指導について
 [1] 薬局薬剤師が行う居宅療養管理指導については、医師又は歯科医師の指示に基づき、薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、また、医療機関の薬剤師が行う場合にあっては、医師又は歯科医師の指示に基づき、利用者の居宅を訪問して、薬歴管理、服薬指導、薬剤服用状況及び薬剤保管状況の確認等の薬学的管理指導を行い、提供した居宅療養管理指導の内容について、利用者又はその家族等に対して積極的に文書等にて提出するよう努め、速やかに記録(薬局薬剤師にあっては、薬剤服用歴の記録、医療機関の薬剤師にあっては、薬剤管理指導記録)を作成するとともに、医師又は歯科医師に報告することとする。併せて、利用者の服薬状況や薬剤の保管状況に問題がある場合等、その改善のため訪問介護員等の援助が必要と判断される場合には、指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員及び必要に応じて関連事業者等に対して情報提供及び必要な助言を行うこととする。薬局薬剤師にあっては当該居宅療養管理指導の指示を行った医師又は歯科医師に対し訪問結果について必要な情報提供を文書で行うこととする。また、提供した文書等の写しがある場合は、記録に添付する等により保存することとする。
  なお、請求明細書の摘要欄に訪問日を記入することとする。
 [2] 薬局薬剤師の策定する「薬学的管理指導計画」は、処方医から提供された医師・歯科医師の居宅療養管理指導における情報提供等に基づき、又は必要に応じ処方医と相談するとともに、他の医療関係職種(歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等及び訪問看護ステーションの看護師等)との間で情報を共有しながら、利用者の心身の特性及び処方薬剤を踏まえ策定されるものであり、薬剤の管理方法、処方薬剤の副作用、相互作用等を確認した上、実施すべき指導の内容、利用者宅への訪問回数、訪問間隔等を記載する。
  策定した薬学的管理指導計画書は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存する。
  薬学的管理指導計画は、原則として、利用者の居宅を訪問する前に策定する。
  訪問後、必要に応じ新たに得られた利用者の情報を踏まえ計画の見直しを行う。また、必要に応じ見直しを行うほか、処方薬剤の変更があった場合及び他職種から情報提供を受けた場合にも適宜見直しを行う。
 [3] 薬局薬剤師にあっては、必要に応じて、処方医以外の医療関係職種に対しても、居宅療養管理指導の結果及び当該医療関係職種による当該患者に対する療養上の指導に関する留意点について情報提供することとする。
 [4] 薬局薬剤師が行う居宅療養管理指導費を月二回以上算定する場合(がん末期患者及び中心静脈栄養を受けている者に対するものを除く。)にあっては、算定する日の間隔は六日以上とする。がん末期患者及び中心静脈栄養を受けている者については、週二回かつ月八回に限り算定できる。医療機関の薬剤師が行う居宅療養管理指導を月二回算定する場合にあっては、算定する日の間隔は六日以上とする。
 [5] 居宅療養管理指導を行った場合には、薬局薬剤師にあっては、薬剤服用歴の記録に、少なくとも以下のア~ツについて記載しなければならない。
  ア 利用者の氏名、生年月日、性別、介護保険の被保険者証の番号、住所、必要に応じて緊急時の連絡先等の利用者についての記録
  イ 処方した医療機関名及び処方医氏名、処方日、処方内容等の処方についての記録
  ウ 調剤日、処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録
  エ 利用者の体質、アレルギー歴、副作用歴等の利用者についての情報の記録
  オ 利用者又はその家族等からの相談事項の要点
  カ 服薬状況
  キ 利用者の服薬中の体調の変化
  ク 併用薬等(一般用医薬品医薬部外品及びいわゆる健康食品を含む。)の情報
  ケ 合併症の情報
  コ 他科受診の有無
  サ 副作用が疑われる症状の有無
  シ 飲食物(現に利用者が服用している薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況等
  ス 服薬指導の要点
  セ 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
  ソ 処方医から提供された情報の要点
  タ 訪問に際して実施した薬学的管理の内容(薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診、副作用、重複服用、相互作用等に関する確認、実施した服薬支援措置等)
  チ 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
  ツ  処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している場合にあっては、当該医療関係職種から提供された情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果に関する情報の要点
 [6] 居宅療養管理指導を行った場合には、医療機関の薬剤師にあっては薬剤管理指導記録に、少なくとも以下のア~カについて記載しなければならないこととし、最後の記入の日から最低三年間保存すること。
  ア 利用者の氏名、生年月日、性別、住所、診療録の番号
  イ 利用者の投薬歴、副作用歴、アレルギー歴
  ウ 薬学的管理指導の内容(医薬品の保管状況、服薬状況、残薬の状況、重複投薬、配合禁忌等に関する確認及び実施した服薬支援措置を含む。)
  エ 利用者への指導及び利用者からの相談の要点
  オ 訪問指導等の実施日、訪問指導を行った薬剤師の氏名
  カ その他の事項
 [7] 居宅療養管理指導を算定している利用者に投薬された医薬品について、医療機関又は薬局の薬剤師が以下の情報を知ったときは、原則として当該薬剤師は、速やかに当該利用者の主治医に対し、当該情報を文書により提供するとともに、当該主治医に相談の上、必要に応じ、利用者に対する薬学的管理指導を行うものとする。
  ア 医薬品緊急安全性情報
  イ 医薬品・医療機器等安全性情報
 [8] 現に他の医療機関又は薬局の薬剤師が居宅療養管理指導を行っている場合は、居宅療養管理指導費は、算定しない。
 [9] 居宅において疼痛緩和のために厚生労働大臣が別に定める特別な薬剤(以下「麻薬」という。)は、「麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号に規定する麻薬」のうち、使用薬剤の購入価格(薬価基準)(平成十四年厚生労働省告示第八十七号)に収載されている医薬品であり、以降、改定がなされた際には、改定後の最新の薬価基準に収載されているものを意味する。
 [10] 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている利用者に対して、定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意事項等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛効果や副作用の有無の確認を行った場合に算定する。なお、薬局薬剤師にあっては、処方せん発行医に対して必要な情報提供を行うことが必要である。
 [11] 麻薬管理指導加算を算定する場合にあっては、薬局薬剤師にあっては薬剤服用歴の記録に[5]の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
  ア 訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)
  イ 訪問に際して行った患者及び家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)
  ウ 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用の状況、服薬指導の内容等に関する事項を含む。)の要点
  エ 利用者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)
 [12] 麻薬管理指導加算を算定する場合にあっては、医療機関の薬剤師にあっては薬剤管理指導記録に[6]の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
  ア 麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、疼痛緩和の状況、副作用の有無の確認等)
  イ 麻薬に係る利用者及び家族への指導・相談事項(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)
  ウ 利用者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項
  エ その他の麻薬に係る事項
 [13] 医師又は歯科医師は、薬剤師への指示事項及び実施後の薬剤師からの報告による留意事項を記載する。なお、当該記載については、医療保険の診療録に記載することとしてもよいが、下線又は枠で囲う等により、他の記載と区別できるようにすることとする。また、薬局薬剤師による訪問結果についての必要な情報提供についての文書は、診療録に添付する等により保存することとする。