対韓国パブコメ結果3

9(II:改正理由等について説明不足、改正理由が納得いかない)
・今回の改正理由について納得がいかず、早急に詳細説明を求める。また政府としては対抗措置ではないという立場を表明しているが、7月1日公布の通達改正(の概要紙)にある、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理を取り組むことが困難になってとの記載が、対抗措置ではなく何を指しているのか説明を求める。
・今までは大丈夫だったのか、どうして急に規制を持ち出したのか、一貫性がないため説明を求める。
<・韓国政府は、通常兵器キャッチオール統制制度を適切に運営しているのにもかかわらず、日本国政府が韓国の貿易管理制度に対して根拠もないまま非難することに対して、深い遺憾の意を表します。
・韓国は、2019年3月以後、第7回協議会の主催者国である日本国からの連絡を待っていましたが、何らの連絡もありませんでした。
・局長級の協議会とは別に韓国は日本国の経済産業省が主催するコンファレンスに2012年から2019年2月まで毎年参加し、参加国と日本に韓国の輸出統制制度を説明するなど、両国の当局者間では意見交換などの協力関係を持続してきました。
・両国間の協議会は韓国が日本国のホワイト国に含まれ後、4年が過ぎてから始まったので、両国間の協議会の開催有無とホワイト国からの除外を連結させることは論理的に妥当ではありません。
・韓国の輸出統制専担人力も日本国の主張とは異なり、110人余りに上るなど適切かつ効果的に貿易管理業務が行われています。
・韓国政府は、日本のホワイト国の中には通常兵器キャッチオール統制を導入していない国もあると認識しています。通常兵器キャッチオール統制を導入していない国はホワイト国に引き続き存置する一方で、同制度を導入している韓国をホワイト国から除くことは、正当な根拠のない差別的措置に該当します。
・日本国は、ホワイト国のうち、日本国と定期的な戦略協議会を運営していない多数の国に対してホワイト国から除くという措置を講じていないため、韓国をホワイト国から除く日本の措置は、不当かつ差別的な措置といえます。
・正当な理由が無いにもかかわらず、日本がホワイト国から韓国を除く場合、この措置は国際規範に合致しません。>

大韓民国も米国の同盟国なので、ホワイト国から削除することに違和感。
・貿易管理上の問題があるのであれば、外為法に基づいた罰則を適用すべき。
・ホワイト国のリストを見れば、ただ一国のみ削除対象とするのは無理がある。リストにある他国と比較し、その上で突出して不正が多い、不利益があるなどの理由がなければ、国際社会からも理解は得られない、理不尽な制裁目的と判断される。
・韓国との信頼関係を損なったとすれば、その原因は日本政府にある。
選挙対策としか思えない。
・2004年にホワイト国認定する際に尽力した日本の方々や、使ったお金を無碍にしている。

・韓国の輸出管理制度は、日米欧と比較して通常兵器キャッチオール規制など十分に整備されておらず、また、審査等の体制面も脆弱なところ、従来は、日韓の対話等を通じて、韓国側が制度や運用を改善するとの信頼関係がありましたが、近年は日本からの申入れにもかかわらず、その機会がなくなっていました。このため、国際的な信頼を土台として構築されている輸出管理制度について、韓国との信頼関係を前提として取り組むことが困難になっていると判断し、従来韓国に対して実施してきた優遇措置をやめて、他国と同様の通常の輸出管理上の扱いに戻すこととしました。
・韓国のキャッチオール制度の根拠条文である対外貿易法19条と戦略物資輸出入告示50条は、大量破壊兵器関連物品等を対象とすることが明記されており、通常兵器キャッチオール制度については、法的根拠が不明確であると認識しています。こうした点も含め、韓国側の輸出管理制度について、事務レベルでの電子メールを通じたやりとりを行ってきましたが、法的根拠に関する十分な説明は得られていません。明確な法的根拠を欠いた状態では、輸出管理を適切に行うことはできないと考えています。
・日韓の輸出管理に関する政策対話を巡る経緯については、日本側からは、何度も開催を要請してきましたが、一度合意した日程も含め、韓国側の事情により日程が延期されることが繰り返されてきました。こうした背景があるにもかかわらず、「主催国である日本側の新たな日程提案を待っていた」とのご意見は、輸出管理当局間の信頼関係の観点から残念であると言わざるを得ません。
経済産業省が主催する輸出管理に関するセミナー等と、機微情報を含めて話し合う政策対話は性格が異なると考えています。
・輸出貿易管理令別表第3の国に求める条件は、その時々の当該国の輸出管理制度、世界各国の輸出管理制度、安全保障を巡る国際情勢などによって変わってくるので、韓国を輸出貿易管理令別表第3に指定した際に政策対話が開催されていなかったことは、現時点においては重要な意味を持つとは考えておりません。
・輸出管理の執行体制については、110名の人材には、武器や原子炉の専用品の輸出入に携わる人員や、民生品が規制対象となるか否かの判定等を行う民間機関の職員を含めた人数と認識しています。産業通商資源部のウェブサイトに基づき、軍事転用可能な民生品の輸出許可の制度構築審査や検査に携わる産業通商資源部の担当課の職員数は11名であり、しかもこれは、貿易保険やダイヤモンドの輸出管理に携わる職員も含めた人数であると認識しています。
・韓国をはじめとして、ホワイト国であっても通常兵器キャッチオールの未導入を含め、輸出管理上の制度や運用、執行体制に課題が残る国があることは事実です。だからこそ、日本としては、これらの国とは、輸出管理についてハイレベルの対話を通じた信頼関係の構築が重要だと認識しています。いずれにせよ、どの国をホワイト国にするかは、様々な要素を総合的に評価して決定しており、差別的措置との指摘は当たりません。
・上記のとおり、韓国を輸出貿易管理令別表第3の国から除外することについては正当な理由があるので、国際規範に合致しないとの指摘は当たらないと考えています。


今回のシリーズでは、個々の意見にコメントするつもりはあまりないのですが、ひとつだけ。
<色塗り>の部分は、韓国政府の意見のように思われます。
(韓国政府以外から寄せられた意見の中で同趣旨のものがある可能性はありますし、<色塗り>の部分以外にも韓国政府の意見が入っている可能性もありますが。)

え? 外国政府が日本のパブリックコメントに意見を提出する、って、どうなの?
いや、たしかにパブリックコメント募集の資料には、意見の提出は「国民や国内団体に限る」というような制限条項は見当たらないし、たとえば日本国内外で貿易業を行っている外国人や外国企業など、濃厚な利害関係を有する個人・団体は意見を提出したとしてもそれほど違和感を覚えませんが・・・

私の理解では、法律は国民の代表である国会議員が集まって制定しているから改めてパブリックコメントに付す必要はない。けれど、命令(政令や省令など)は国会で決めていない(閣議決定はあるにしても)から、広く国民の声を聴く、という理念が根底にあるのではないかと思っています。

そもそも、外国政府が、(正規の外交の手段ではなく)他国のパブリックコメントに意見を送る、って、恥ずかしくない?
(注:送られる側ではなくて、送る側が恥ずかしくないか、という観点です。念のため。)


(それはそれとして、つづく)