2019年10月介護報酬パブコメ結果1

2019年度介護報酬改定に伴う関係告示の一部改正に関する意見募集についての結果
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495180380&Mode=2

 厚生労働省では、2019年度介護報酬改定に伴う関係告示の一部改正について、平成31年2月13日から平成31年3月14日まで御意見を募集したところ、42件の御意見を頂きました。
 お寄せ頂いた主な意見とそれらに対する当省の考え方について、以下のとおり取りまとめましたので御報告いたします。なお、取りまとめの都合上、頂いた御意見等は、適宜整理集約して掲載しております。
 その他、2019年度介護報酬改定に伴う関係告示の一部改正に直接関係しない御意見等につきましては、お答えすることは差し控えさせて頂きましたが、貴重な御意見として承らせて頂きました。

特定処遇改善加算で、経験のある介護職員間で月に「8万円」給料が増えるといった誤ったイメージが独り歩きしているのではないか、全員の給料を8万円引き上げるべきではないか。
「8万円」については、「新しい経済政策パッケージ」(2017年12月8日閣議決定)において、「介護
サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠」に、介護職員の更なる処遇改善を行うこととされたことを踏まえ、算定根拠としています。なお、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指し、経験・技能のある介護職員に重点化する観点から、「月額8万円」の改善又は「役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)」を設定・確保することとしています。

今回の特定処遇改善加算の趣旨は何か。また、
○ [1]経験・技能のある介護職員(勤続10年以上の介護福祉士を基本とし、介護福祉士の資格を有することを要件としつつ、勤続10年の考え方は、事業所の裁量で設定)において「月額8万円」の改善又は「役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)」を設定・確保
○ 平均の処遇改善額が、
・ [1]経験・技能のある介護職員は、[2]その他の介護職員の2倍以上とすること
・ [3]その他の職種(役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)以上の者は対象外)は、[2]その他の介護職員の2分の1を上回らないこと
など、ルールがきまっているが、その理由はなぜか。どのように運用するのか。
2019年度介護報酬改定では、これまでの取組に加えて、介護職員の更なる処遇改善を行うこととしています。具体的には、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指し、経験・技能のある介護職員に重点化する観点から、
○ [1]経験・技能のある介護職員(勤続10年以上の介護福祉士を基本とし、介護福祉士の資格を有することを要件としつつ、勤続10年の考え方は、事業所の裁量で設定)において「月額8万円」の改善又は「役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)」を設定・確保することとし、
○ 平均の処遇改善額が、
・ [1]経験・技能のある介護職員は、[2]その他の介護職員の2倍以上とすることとしました。
また、「新しい経済政策パッケージ」において、「他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提」とされていることを踏まえ、介護職員の更なる処遇改善という趣旨を損なわない程度において、介護職以外の職種にも一定程度処遇改善を行う柔軟な運用を認める観点から、
○ 平均の処遇改善額が、
・ [3]その他の職種(役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)以上の者は対象外)は、[2]その他の介護職員の2分の1を上回らないこととしました。
より具体的な運用方法等については、通知等にてお示しする予定です。

処遇改善加算については現在、前年度までに翌年度の加算の計画書を提出し、計画期間終了後に実績報告を提出することとなっているが、事業者及び指定権者の負担が大きくなっていることから、
[1]特定処遇改善加算についても、同様の計画及び実績報告が必要な制度とする予定か。
[2]また、処遇改善加算についても、計画及び実績報告のあり方について簡素化を検討すべきではないか。
処遇改善加算については、加算額が賃金改善に充てられるよう担保し、その適正な運用を図る観点から計画及び実行報告を求めているところ、今般の加算においても同様の運用を行う予定です。
その一方、文書量の削減にも取り組む必要があることから、引き続き検討していきます。

経験・技能のある介護職員に重点化した処遇改善では、法人内の役職者や他職種との給与バランスが崩れ、介護職員以外の職員のモチベーション低下が懸念される。
介護福祉士であっても、介護職員の経験を経て生活相談員やケアマネジャー、管理職等になっているケースも多々あるところ、給与の逆転現象が生じることで、上記のような職種・役職になりたい職員がいなくなる恐れがある。
したがって、職員の定着・育成につなげるために、特定処遇改善加算については柔軟な運用に制限を設けず、法人の裁量を認めるべきではないか。
介護職員と他産業との賃金差が依然として小さくない中、「新しい経済政策パッケージ」における介護職員の更なる処遇改善を行うという趣旨も踏まえ、事業所の裁量も一定程度認めつつ、経験・技能のある職員に重点化し処遇改善を行うことが適当であると考えております。なお、月額8万円の改善又は年収440万円の設定については、小規模な事業所で開設したばかりであるなど設定が困難な場合は法人の裁量により例外を認めることとしています。

現場で働く介護職員は継続した就業の未来に不安がある為介護職を選ばない、離職する人が多くいる。介護の現場はストレスも多く、賃金だけの問題ではない。
介護職員は働きやすさ等を求めているところ、賃金だけでなく、休みを確保する為の職員確保をきちんとしている事が重要ではないか。
介護職員の確保に当たっては、処遇改善だけではなく離職防止に向けた総合的な取組を行うことも重要であると考えており、処遇改善加算においては、これまでも、職場環境等要件を設け、賃金改善以外の職員の資質向上や労働環境の改善に向けた取組等を行うことを求めているところ。今般の加算においては、職場環境等要件において複数の取組を行うことを新たに求め、取組をより促進していきます。

(つづく)