2019/10介護報酬パブコメ2

では、問題の、新設される処遇改善加算について。
パブリックコメントに添付されている加算率の資料です(ブログ掲載にあたって、少し横方向に縮小しています)。


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介護職員の人件費の占める割合、ということでサービスごとに差がありますが、それはともかく、加算の要件。
例として、訪問介護で見てみます。


ト 介護職員等特定処遇改善加算(新設)
注 別に厚生労働大臣が定める基準に適合している介護職員等の賃金の改善等を実施しているものとして都道府県知事に届け出た指定訪問介護事業所が、利用者に対し、指定訪問介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
(1)介護職員等特定処遇改善加算(I) イからホまでにより算定した単位数の1000分の63に相当する単位数
(2)介護職員等特定処遇改善加算(II) イからホまでにより算定した単位数の1000分の42に相当する単位数

※別に厚生労働大臣が定める基準の内容は次のとおり。

訪問介護費における介護職員等特定処遇改善加算の基準

イ 介護職員等特定処遇改善加算(I) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
(1)介護職員その他の職員の賃金改善について、次に掲げる基準のいずれにも適合し、かつ、賃金改善に要する費用の見込額が介護職員等特定処遇改善加算の算定見込額を上回る賃金改善に関する計画を策定し、当該計画に基づき適切な措置を講じていること。
 (一)介護福祉士であって、経験及び技能を有する介護職員と認められる者(以下「経験・技能のある介護職員」という。)のうち一人は、賃金改善に要する費用の見込額が月額八万円以上又は賃金改善後の賃金の見込額が年額四百四十万円以上であること。ただし、介護職員等特定処遇改善加算の算定見込額が少額であることその他の理由により、当該賃金改善が困難である場合はこの限りでないこと。
 (二)当該事業所における経験・技能のある介護職員の賃金改善に要する費用の見込額の平均が、介護職員(経験・技能のある介護職員を除く。)の賃金改善に要する費用の見込額の平均の二倍以上であること。
 (三)介護職員(経験・技能のある介護職員を除く。)の賃金改善に要する費用の見込額の平均が、介護職員以外の職員の賃金改善に要する費用の見込額の平均の二倍以上であること。ただし、介護職員以外の職員の平均賃金額が介護職員(経験・技能のある介護職員を除く。)の平均賃金額を上回らない場合はこの限りでないこと。
 (四)介護職員以外の職員の賃金改善後の賃金の見込額が年額四百四十万円を上回らないこと。
(2)指定訪問介護事業所において、賃金改善に関する計画、当該計画に係る実施期間及び実施方法その他の当該事業所の職員の処遇改善の計画等を記載した介護職員等特定処遇改善計画書を作成し、全ての職員に周知し、都道府県知事に届け出ていること。
(3)介護職員等特定処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施すること。ただし、経営の悪化等により事業の継続が困難な場合、当該事業の継続を図るために当該事業所の職員の賃金水準(本加算による賃金改善分を除く。)を見直すことはやむを得ないが、その内容について都道府県知事に届け出ること。
(4)当該指定訪問介護事業所において、事業年度ごとに事業所の処遇改善に関する実績を都道府県知事に報告すること。
(5)訪問介護費における特定事業所加算(I)又は(II)のいずれかを算定していること。
(6)訪問介護費における介護職員処遇改善加算(I)から(III)までのいずれかを算定していること。
(7)平成二十年十月から(2)の届出の日の属する月の前月までに実施した職員の処遇改善の内容(賃金改善に関するものを除く。以下この号において同じ。)及び当該職員の処遇改善に要した費用を全ての職員に周知していること。
(8)(7)の処遇改善の内容等について、インターネットの利用その他の適切な方法により公表していること。

ロ 介護職員等特定処遇改善加算(II) イ(1)から(4)まで及び(6)から(8)までに掲げる基準のいずれにも適合すること。


「ただし、介護職員等特定処遇改善加算の算定見込額が少額であることその他の理由により、当該賃金改善が困難である場合はこの限りでないこと」
など、要件の詳細がわからないとはっきりしたことは言いにくいのですが、

A:ベテランの介護職員(介護福祉士であって、経験及び技能を有する介護職員と認められる者)
B:それ以外の介護職員
C:介護職員以外の職員

というようにランク分けし、それぞれの職種間の(かなりの)格差をつけた処遇改善でないと要件を満たさない、
と読めます。
また、A~Cのカテゴリー内の配分については、事業者に委ねられており(言い方を変えれば責任を押しつけられており)、この要件を満たしつつ職員間で不公平感が起きないようにしようとすれば、事業者がかなりの持ち出しをする必要があるように思います。

効率のよい地域等で大規模で運営し、儲かっているところはいいでしょう(すでに430万円台後半の年収を支給している介護職員がいるとか)。
過疎地など採算性がよくない環境で、なんとか努力しているような事業者にとっては、「取らない方がよい」あるいは「はっきり、取れない」という加算のように思えます。