豪雨災害の介護報酬等の取扱い・下

2.サービス種別

(1)訪問介護
 [1] 特定事業所加算
  [ア] 特定事業所加算の算定要件である定期的な会議の開催やサービス提供前の文書による指示・サービス提供後の報告について、今般の被災等により、やむを得ず当該要件を満たすことができなくなった場合についても、当該加算の算定は可能である。
  [イ] 今般の被災等により、介護職員等の増員や新規利用者の受け入れ、サービス提供回数の増等を行った事業所については、特定事業所加算の有資格者等の割合や重度要介護者等の割合の計算及び配置すべきサービス提供責任者の員数の計算の際、当該職員及び利用者数等を除外して算出してもよい。
 [2] その他
  今般の被災等により、訪問介護等に従事する介護職員が不足した場合、例えば、一時的に通所介護事業所の職員(介護職員初任者研修修了者)を代わりに従事させるときは、通常、介護保険法第75条等に規定する届出を行う必要があるが、緊急性の高さに鑑み、届出時期の猶予等の柔軟な運用を図り、被災者等のサービスの確保に努められたい。
  なお、平成11年4月20日の全国課長会議において、「運営規程の内容のうち『従業者の職種、員数及び職務の内容』については、その変更の届出は1年のうちの一定の時期に行うことで足りる」旨の周知を行っており、適宜参照されたい。

(2)通所介護認知症対応型通所介護・地域密着型通所介護・療養通所介護 今般の被災等により、通所介護事業所等の浴槽等の入浴設備が損壊し、入浴サービスが提供できなくなった場合であっても、事業所が利用者のニーズを確認し、清拭・部分浴など入浴介助に準ずるサービスを提供していると認められるときは、入浴介助加算又は入浴介助体制加算の算定が可能である。

(3)介護予防通所リハビリテーション
 今般の被災等により、介護予防通所リハビリテーションが休業し、利用者に対して、介護予防サービス・支援計画に基づく適切な利用回数等のサービスが提供できなかった場合には、当該利用者については、日割り計算を行うこととする。
 一方、休業の影響を受けず、適切な利用回数等のサービスを提供された利用者については、日割り計算は行わない。
 日割り計算の方法は、月の総日数から、震災の影響により休業した期間(定期休業日を含む。)を差し引いた日数分について請求することとする。
 なお、介護予防通所リハビリテーションが燃料の調達が困難であったために、送迎に支障が生じたことにより、適切な利用回数等のサービスが提供できなかった場合も、同様の取扱いとする。

(4)訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション
 ・社会参加支援加算の算定要件について
  今般の災害等やむを得ない事情により、新規利用者の受け入れ等を行った事業所については、社会参加支援加算の要件の算出の際、当該利用者数等を除外して差し支えない。

(5)通所介護・通所リハビリテーション
 ・中重度者ケア体制加算の算定要件について
  今般の災害等やむを得ない事情により、新規利用者の受け入れ等を行った事業所については、中重度者ケア体制加算の要件の算出の際、当該利用者数等を除外して差し支えない。なお、通所介護認知症加算についても同様である。

(6)介護予防通所リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション・通所型サービス(総合事業)
 ・事業所評価加算の算定要件について
  今般の災害等やむを得ない事情により、新規利用者の受け入れ等を行った事業所については、事業所評価加算の基準の要件の算出の際、当該利用者数等を除外して差し支えない。

(7)短期入所生活介護
 短期入所生活介護における長期利用者に対する減算(自費利用などを挟み実質連続30日を超える利用者について基本報酬を減算するもの)について、今般の被災により、在宅に戻れずやむを得ず短期入所生活介護を継続している場合には、適用しない取扱いが可能である。

(8)(介護予防)福祉用具貸与
 被災前に使用していた福祉用具が滅失又は破損した場合は、再度、貸与を受けることが可能である。

(9)特定(介護予防)福祉用具販売
 被災前に購入していた特定(介護予防)福祉用具が滅失又は破損し、再度同一の福祉用具を購入する場合には、介護保険法施行規則第70条第2項に定める「特別の事情がある」ものとして、当該購入に係る費用に対し保険給付することは可能である。

(10)居宅介護支援
 [1] 介護支援専門員が担当する件数が40件を超えた場合
  被災地や被災地から避難者を受け入れた場合について、介護支援専門員が、やむを得ず一時的に40件を超える利用者を担当することになった場合においては、40件を超える部分について、居宅介護支援費の減額を行わないことが可能である。
 [2] 利用者の居宅を訪問できない場合
  被災による交通手段の寸断等により、利用者の居宅を訪問できない等、やむを得ず一時的に基準による運用が困難な場合は、居宅介護支援費の減額を行わないことが可能である。
 [3] 特定事業所集中減算
  被災地において、ケアプラン上のサービスを位置付ける上で、訪問介護事業所の閉鎖などにより、やむを得ず一時的に特定の事業所にサービスが集中せざるを得ない場合、減算を適用しない取扱いが可能である。

(11)介護保険施設(※)
 [1] 避難前と避難後で別のケアを行っている場合
  避難前の施設等においてユニットケアを受けていた利用者が、避難先において従来型個室などの異なる環境でサービスを受けている場合、避難前の施設等において提供していたサービス(ユニットケア)を継続して提供していると判断できるときは、従前の算定区分により請求して差し支えない。
  ただし、本来処遇されるべき場所以外の場所におけるサービス提供が長期的に行われることは適当ではないため、適切なサービスを提供できる受け入れ先等の確保に努めること。
 [2] ユニット型個室を多床室として使用した場合
  避難者を受け入れて入所させた施設において、これまでユニット型個室として使用していた部屋を多床室として利用した場合、これまで提供してきたユニットケアが継続して提供していると判断できるときは、これまでの利用者の了解を得た上で、これまでの利用者及び被災者の双方について、ユニット型個室の区分により請求して差し支えない。
  ただし、本来処遇されるべき場所以外の場所におけるサービス提供が長期的に行われることは適当ではないため、適切なサービスを提供できる受け入れ先等の確保に努めること。
 [3] 被災地における施設基準の考え方について
  被災地の介護保険施設が、災害等やむを得ない事情により要介護者を入所又は入院させたことにより、指定等基準、基本施設サービス費及び加算に係る施設基準について、被災前にこれらを満たしていた介護保険施設が、当該基準を満たさなくなった場合であっても、当面の間、直ちに施設基準の変更の届出を行う必要はない。
 [4] 被災地以外における施設基準の考え方について
  被災地以外の介護保険施設が、災害等やむを得ない事情により要介護者を入所又は入院させた場合にあっては、指定等基準、基本施設サービス費及び加算に係る施設基準については、当面の間、被災地から受け入れた入所者又は入院患者を除いて算出することができる。

(※)介護老人保健施設、病院、診療所及び介護医療院により行われる(介護予防)短期入所療養介護を含み、[1]及び[2]については(介護予防)短期入所生活介護を含む。