保護者が理事

ネット上某所に、親御さんが(たぶん常勤の)理事をしている事業所にお子さんである障害者(児)が通うことについてのスレッドがありました。
内容はともかくとして、昔話めいたことを書いてしまったので、こちらでも記事にしておきます。


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スレッドを立てられた方が指摘されている状況の詳細がわからないので、措置時代の一般的な昔話を。

大都市圏は知りませんが、地方では障害者(児)施設はきわめて少なく、在宅サービスはないに等しく、入所施設でさえ遠方(たとえば隣県の隣県ぐらい)に行かざるを得ない重度障害のお子さんも珍しくありませんでした。
その中で、お子さんの親御さんなどが中心になって運動し、社会福祉法人非営利団体が生まれ、少しずつサービスを拡充してきた経緯があります。

国の通知の中に、社会福祉法人評議員について
「利用者の立場に立った事業経営を図る観点から、利用者の家族の代表が加わることが望ましいこと。」
という一文がありますが、それがなかったとしても、理事、評議員などの中に保護者が入っている団体があるのは、こういう経緯の中では当然といえます。

もっとも、社会福祉法人でもNPO法人でも、(障害者の身内に限らず)親族等の特殊関係者が役員になる場合の数的制限はありますし、その他、運営に透明性を確保するための仕組みはあります。
居宅介護や介護保険訪問介護等で同居家族のサービス提供が原則不可とされているのは、居宅内のサービスで透明性が確保できない(公費を投入すべきサービスか、同居家族が行うべき行為か、わかりづらい)ためです。

だから、通所型のサービスなどで、他のスタッフや利用者もいる状況で、透明性が確保できる場合に、保護者が常勤の理事として関わっていても、法的にも倫理的にも問題はありません。
上記通知が廃止になったとしても同じです。

他の方々もいろいろ例を出されていますが、たとえば保育園で園長や主任保育士の身内(子や孫)の園児がいたとして、何か法的、倫理的な問題があるでしょうか。

蛇足ですが、私は児童福祉司生活保護担当ケースワーカー社会福祉法や障害者自立支援法(総合支援法に改正前だったので)に基づく都道府県の監査担当職員などの立場で障害者(児)サービスに関わった経験がありますが、保護者が役員であったがゆえの不正というのは記憶にありません。
(役員ではない)保護者など利用者側からの通報がきっかけになって不正が明らかになった件は(私が直接の担当ではありませんでしたが)記憶していますが。

保護者の中には、児童相談所の職員よりも(少なくとも部分的には)障害特性について詳しい方もおられて、こちらも負けないように勉強したものでした。
そういう保護者なら、前述の通知が改正されたとしても、理事や評議員として適格性に欠けるとはいえません。