放談の続き

前記事の最後に書いた、
次世代、あるいは同党でなくても「自主憲法制定」などを主張している方々について。

私は原理主義的護憲論者ではないし、憲法改正の議論自体はあり得ると思っています。
第9条に限らず。

ただ、「自主憲法」という表現には疑問があります。

たしかに、現行憲法の原案作成にあたっては、GHQの関与があったのは事実でしょう。
ですが、当時の国会で「芦田修正」と呼ばれる9条の修正等があったのも事実ですし、一部の議員を除いて圧倒的多数の賛成で衆議院で可決されたのも事実です。

ちなみに、反対票を投じたのは、共産党など、いわゆる左翼系の議員であって、保守系あるいは右翼系と呼ばれるような議員ではありません。

そして、仮にGHQの意向に反した言動を国会で行ったとしても、少なくともそれで生命を奪われるような危険はなかったはずです。

つまり、当時の議員の総意で可決された、といって間違いではありません。

そして、その現行憲法成立時の衆議院は、敗戦後に(まず間違いなくGHQの意向で)女性が選挙権・被選挙権を持てるように改正された制度下で選出された議員で構成されていました。

実は旧憲法にも女性の参政権を認めないような条文はなく、戦前にも女性の参政権を認めようとする動きはあったのですが、実現には至っていませんでした。
また、当時、日本以外にも女性の参政権が認められていなかった国が少なからずあったのは事実です。
ですが、日本で女性の参政権が認められるようになったのは、敗戦後であった、というのも事実です。

ここで、さらに疑問。
「自主憲法制定」を主張する政治家の中には、「憲法改正」ではなく、「憲法破棄」+「新憲法制定」と主張する方々がいます。

「自主憲法制定」を主張する人々の中には、女性議員もいます。

彼女たちは、「GHQが押しつけた」という現行憲法を破棄すべき、と訴えるなら、同じくGHQが押しつけた女性参政権もいったん白紙に戻すべき、という考え方なのでしょうか。
それなら、まず、自分たちの議席も返上すべき、ということにはならないでしょうか?


注:彼女たちは議員辞職をすべき、という意味ではありません。また、男性議員ならこういう主張をしても当然、という意味でもありません。