「DNA鑑定で父子」認めず

最高裁:「DNA鑑定で父子」認めず…血縁より民法を優先

毎日新聞 2014年07月17日 21時45分(最終更新 07月18日 01時40分)

 DNA型鑑定で血縁関係がないと証明されれば法律上の父子関係を取り消せるかが争われた2件の訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は17日、「血縁関係がないことが科学的に明らかで、夫婦が別居し、子供が妻に育てられている事情があっても、法律上の父子関係は取り消せない」との初判断を示した。その上で、いずれも「父子関係は取り消せる」とした2審を破棄し、妻側の訴えを却下する判決を言い渡した。

  夫と子との血縁関係が科学的に否定された場合、「妻が結婚中に妊娠した子は夫の子と推定する」と定めた民法772条の規定(嫡出推定)の例外となるかが争点だった。訴訟の当事者は北海道の元夫婦と近畿地方の別居中の夫婦。鑑定で「父子関係99.99%」とされた血縁上の父と子が、法律上の父と別れた妻と生活していた。小法廷はこういうケースでも「子の身分の法的安定を保つ必要はなくならず、法律上の父の子と推定される」と指摘。「民法は法律上の父子関係が生物学上の関係と一致しないことも容認している」と述べた。

 5人の裁判官のうち3人の多数意見。金築誠志裁判官(裁判官出身)と裁判長を務めた白木裁判官(同)が反対意見を述べた。補足意見を述べた桜井龍子、山浦善樹両裁判官を加えた計4人が立法論議を促した。白木裁判官は「民法制定時、鑑定で血縁関係が誤りなく明らかにできると想定できなかった。立法の手当てが望ましい」と述べた。

 元夫が鑑定を基に、元妻の子との父子関係取り消しを求めた四国の訴訟は提訴期間(出生を知って1年)を過ぎていることもあり、「取り消せない」とした2審判断を維持した。【川名壮志】
http://mainichi.jp/select/news/20140718k0000m040119000c.html


最高裁判決でも、こちらは難しく、また深刻です。

1)北海道の元夫婦
2)近畿の別居中の夫婦
3)四国の元夫婦

3件の訴訟です。
(なお、読売新聞では3について触れていませんでした。3件の合併の審理については異論があるかもしれませんが、それはそれとして、報道の正確さとしては疑問です。)

1と2は、婚姻中に妻が夫以外の男性と性交して生まれた子と、夫との父子関係。
念のため。夫や元夫の主張は、「ワシの子ではない」ではなく、
「不倫の相手が生物学上の父親であったとしても、夫であった自分が父親だ」
という主張です。

3は、「ワシの子ではない」というタイプの主張です。
これは、出生を知ってから1年という期限を過ぎていなかったら、夫側の主張が通った可能性があります。
(というか、その可能性の方が高いと思います。)
ただ、民法第777条で「1年以内」と明示されているので、判断とすれば1や2よりは、ある意味簡単。

1と2は、子にとって最善は、とか、考え出すと、本当に難しいところです。
裁判官も3対2に分かれました。
裁判官出身者が2、それ以外(行政、検事、弁護士)の出身者が3というところが微妙かも。

DV別居とか、レイプによる妊娠、とかではないので、
不倫をした母親(と、相手の男性)が悪い、というのはそのとおりだと思います。
(そのことによる夫側への慰謝料の有無については報道されていないのでわかりません。)

今後、民法等の規定の見直しも、また必要だろうとは思いますが、
その際、国民の意見(これも様々だと思いますが)をどう取り入れるか、ということも課題でしょう。

あと、このことを(成長後にでも)知った、お子さんたちの心のケアも気になります。