「はだしのゲン」の閲覧制限

はだしのゲン」を閲覧制限

中国新聞 13/8/17)
 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」の描写が過激であるとして、松江市教委が昨年12月、市内の小中学校に学校図書館での子どもの閲覧を制限し、貸し出しもやめるよう要請していたことが16日、分かった。出版物の表現の自由に行政が介入する異例の事態といえ、議論を呼びそうだ。

 「はだしのゲン」は、昨年12月に亡くなった広島市出身の漫画家中沢啓治さんの代表作。松江市教委が「子どもの発達上、悪影響を及ぼす」と判断したのは、汐文社(東京)発行の「はだしのゲン愛蔵版」1~10巻のうち、後半の6~10巻。中国大陸での旧日本軍の行動を描いたシーンでは、中国人女性の首を切ったり性的暴行を加えたりする場面があった。

 市教委によると、昨年12月に小学校全35校、中学校全17校を対象に開いた校長会で、本棚に置かず倉庫に収める「閉架」とするよう口頭で求めた。同時に、貸し出しもしないよう伝えた。作品を所有する各校は要請を受け入れ、閲覧を制限しているという。

 同市議会には昨年8月「子どもたちに間違った歴史認識を植え付ける」と主張する市民から、学校図書館からの撤去を求める陳情が提出されていた。だが市議会は同12月の本会議で、全会一致の不採択を決めていた。

 市教委の古川康徳副教育長は「歴史認識の問題ではなく、あくまで過激な描写が子どもにふさわしくないとの判断だ」と説明。「平和教育の教材としての価値は高いと思うが、要請を見直す考えはない」と話している。

 汐文社の政門一芳社長は「中沢さんは常々『原爆の悲惨さはどれだけ描いても描き切れない』と言っていた。子どもの自由な思考の機会を奪う判断には憤りを感じる」と話している。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201308170015.html


「教育的配慮は必要」=はだしのゲン閲覧制限に下村文科相

時事通信 8月21日(水)17時54分配信 )
 下村博文文部科学相は21日の閣議後記者会見で、松江市教育委員会が広島の原爆被害を描いた漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を市内の小中学校に要請したことについて、「学校図書館は子どもの発達段階に応じた教育的配慮の必要性がある」と述べ、要請は市教委の権限に基づく行為で問題ないとする認識を示した。
 下村文科相は、「漫画の描写について確認したが、教育上好ましくないのではと考える人が出てくるのもありうる話だ」と指摘。「学校図書館以外で、読みたい人が読める環境が社会全体で担保されていれば良いのでは」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130821-00000111-jij-soci


この問題については、ネット上でも数多くの意見が出ています。
松江市教委に批判的な意見が多いようですが、
<「はだしのゲン」の特に後半は自虐史観>との観点などから、制限を肯定する意見もあります。

ちなみに、「はだしのゲン」については、自民党の政治家でも、麻生太郎氏が外相時代の国際会議出席の折に英訳版を配布したことがあるそうです。


で。

私も歴史認識の問題ではなく、「描写が子どもにふさわしくないか」との観点でいえば。

あほか

です。

この漫画自体は、私はそれほど好きではありません。
当時の教師などが推薦したということが、あまのじゃくな子どもであった私には逆効果だった(笑)

ですが、「中国人女性の首を切ったり性的暴行を加えたりする場面」(影絵など抽象的に描かれています)が、
現在の子どもたちにとって悪影響が出るほど悲惨かといえば、明らかに違うと思います。

少なくとも、中学生に制限する内容ではない。

世にある性的描写も残虐描写も、教委や閣僚のおっさんらが子どもだった頃の状態とは、全然違う。

ちなみに、私は小学生の頃、ロシア兵が大陸残留邦人の女性を襲う描写の作品を見た記憶があります。
まあ、学校図書館でではないですけどね。

それが戦争の現実ではあります。