薬剤師1・居宅療養管理指導

ハ 薬剤師が行う場合
(1)病院又は診療所の薬剤師が行う場合
 (一)同一建物居住者以外の者に対して行う場合 550単位
 (二)同一建物居住者に対して行う場合 385単位
(2)薬局の薬剤師が行う場合
 (一)同一建物居住者以外の者に対して行う場合 500単位
 (二)同一建物居住者に対して行う場合 350単位

注1 (1)(一)及び(2)(一)については在宅の利用者(当該利用者と同一建物に居住する他の利用者に対して指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が同一日に指定居宅療養管理指導を行う場合の当該利用者(以下この注1において「同一建物居住者」という。)を除く。)であって通院が困難なものに対して、(1)(二)及び(2)(二)については在宅の利用者(同一建物居住者に限る。)であって通院が困難なものに対して、当該指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、医師又は歯科医師の指示(薬局の薬剤師にあっては、医師又は歯科医師の指示に基づき、当該薬剤師が策定した薬学的管理指導計画)に基づき、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導を行い、介護支援専門員に対する居宅サービス計画の策定等に必要な情報提供を行った場合に、1月に2回(薬局の薬剤師にあっては、4回)を限度として算定する。ただし、薬局の薬剤師にあっては、別に厚生労働大臣が定める者に対して、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導等を行った場合は、1週に2回、かつ、1月に8回を限度として算定する。

<H24告示95>

九 指定居宅サービス介護給付費単位数表の居宅療養管理指導費のハの注1の厚生労働大臣が定める者
 次のいずれかに該当する者
 イ 末期の悪性腫瘍の者
 ロ 中心静脈栄養を受けている者

<H12老企36>

(3)薬剤師が行う居宅療養管理指導について
 [1] 薬局薬剤師が行う居宅療養管理指導については、医師又は歯科医師の指示に基づき、薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、また、医療機関の薬剤師が行う場合にあっては、医師又は歯科医師の指示に基づき、利用者の居宅を訪問して、薬歴管理、服薬指導、薬剤服用状況及び薬剤保管状況の確認等の薬学的管理指導を行い、提供した居宅療養管理指導の内容について、利用者又はその家族等に対して積極的に文書等にて提出するよう努め、速やかに記録(薬局薬剤師にあっては、薬剤服用歴の記録、医療機関の薬剤師にあっては、薬剤管理指導記録)を作成するとともに、医師又は歯科医師に報告した上で、ケアマネジャーに対するケアプランの作成等に必要な情報提供を行うこととする。ケアマネジャーへの情報提供がない場合には、算定できないこととなるため留意すること。ただし、ケアマネジャーによるケアプランの作成が行われていない場合の取扱いについては、(2)[3]を準用する。
  併せて、利用者の服薬状況や薬剤の保管状況に問題がある場合等、その改善のため訪問介護員等の援助が必要と判断される場合には、関連事業者等に対して情報提供及び必要な助言を行うこととする。薬局薬剤師にあっては当該居宅療養管理指導の指示を行った医師又は歯科医師に対し訪問結果について必要な情報提供を文書で行うこととする。また、提供した文書等の写しがある場合は、記録に添付する等により保存することとする。
  なお、請求明細書の摘要欄に訪問日を記入することとする。
 [2] 薬局薬剤師の策定する「薬学的管理指導計画」は処方医から提供された医師・歯科医師の居宅療養管理指導における情報提供等に基づき、又は必要に応じ処方医と相談するとともに、他の医療関係職種(歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等及び訪問看護ステーションの看護師等)との間で情報を共有しながら、利用者の心身の特性及び処方薬剤を踏まえ策定されるものであり、薬剤の管理方法、処方薬剤の副作用、相互作用等を確認した上、実施すべき指導の内容、利用者宅への訪問回数、訪問間隔等を記載する。
策定した薬学的管理指導計画書は、薬剤服用歴の記録に添付
する等の方法により保存する。
  薬学的管理指導計画は、原則として、利用者の居宅を訪問する前に策定する。
  訪問後、必要に応じ新たに得られた利用者の情報を踏まえ計画の見直しを行う。また、必要に応じ見直しを行うほか、処方薬剤の変更があった場合及び他職種から情報提供を受けた場合にも適宜見直しを行う。
 [3] 薬局薬剤師にあっては、必要に応じて、処方医以外の医療関係職種に対しても、居宅療養管理指導の結果及び当該医療関係職種による当該患者に対する療養上の指導に関する留意点について情報提供することとする。
 [4] 薬局薬剤師が行う居宅療養管理指導費を月二回以上算定する場合(がん末期患者及び中心静脈栄養を受けている者に対するものを除く。)にあっては、算定する日の間隔は六日以上とする。がん末期患者及び中心静脈栄養を受けている者については、週二回かつ月八回に限り算定できる。医療機関の薬剤師が行う居宅療養管理指導を月二回算定する場合にあっては、算定する日の間隔は六日以上とする。
 [5] 居宅療養管理指導を行った場合には、薬局薬剤師にあっては、薬剤服用歴の記録に、少なくとも以下のア~ツについて記載しなければならない。
  ア 利用者の氏名、生年月日、性別、介護保険の被保険者証の番号、住所、必要に応じて緊急時の連絡先等の利用者についての記録
  イ 処方した医療機関名及び処方医氏名、処方日、処方内容等の処方についての記録
  ウ 調剤日、処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録
  エ 利用者の体質、アレルギー歴、副作用歴等の利用者についての情報の記録
  オ 利用者又はその家族等からの相談事項の要点
  カ 服薬状況
  キ 利用者の服薬中の体調の変化
  ク 併用薬等(一般用医薬品医薬部外品及びいわゆる健康食品を含む。)の情報
  ケ 合併症の情報
  コ 他科受診の有無
  サ 副作用が疑われる症状の有無
  シ 飲食物(現に利用者が服用している薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況等
  ス 服薬指導の要点
  セ 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
  ソ 処方医から提供された情報の要点
  タ 訪問に際して実施した薬学的管理の内容(薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診、副作用、重複服用、相互作用等に関する確認、実施した服薬支援措置等)
  チ 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
  ツ 処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している場合にあっては、当該医療関係職種から提供された情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果に関する情報の要点
 [6] 居宅療養管理指導を行った場合には、医療機関の薬剤師にあっては薬剤管理指導記録に、少なくとも以下のア~カについて記載しなければならないこととし、最後の記入の日から最低三年間保存すること。
  ア 利用者の氏名、生年月日、性別、住所、診療録の番号
  イ 利用者の投薬歴、副作用歴、アレルギー歴
  ウ 薬学的管理指導の内容(医薬品の保管状況、服薬状況、残薬の状況、重複投薬、配合禁忌等に関する確認及び実施した服薬支援措置を含む。)
  エ 利用者への指導及び利用者からの相談の要点
  オ 訪問指導等の実施日、訪問指導を行った薬剤師の氏名
  カ その他の事項
 [7] 居宅療養管理指導を算定している利用者に投薬された医薬品について、医療機関又は薬局の薬剤師が以下の情報を知ったときは、原則として当該薬剤師は、速やかに当該利用者の主治医に対し、当該情報を文書により提供するとともに、当該主治医に相談の上、必要に応じ、利用者に対する薬学的管理指導を行うものとする。
  ア 医薬品緊急安全性情報
  イ 医薬品・医療機器等安全性情報
 [8] 現に他の医療機関又は薬局の薬剤師が居宅療養管理指導を行っている場合は、居宅療養管理指導費は、算定しない。
 [9] [8]にかかわらず、居宅療養管理指導を行っている保険薬局(以下「在宅基幹薬局」という。)が連携する他の保険薬局(以下「サポート薬局」という。)と薬学的管理指導計画の内容を共有していること及び緊急その他やむを得ない事由がある場合には在宅基幹薬局の薬剤師に代わって当該利用者又はその家族等に居宅療養管理指導を行うことについて、あらかじめ当該利用者又はその家族等の同意を得ている場合には、在宅基幹薬局に代わってサポート薬局が居宅療養管理指導を行った場合は居宅療養管理指導費を算定できること。なお、居宅療養管理指導費の算定は在宅基幹薬局が行うこと。
 [10] サポート薬局の薬剤師が在宅基幹薬局の薬剤師に代わって居宅療養管理指導を行った場合には次のとおり、薬剤服用歴の記録等を行うこととする。
  ア サポート薬局は、薬剤服用歴の記録を記載し、在宅基幹薬局と当該記録の内容を共有すること。
  イ アを踏まえ、在宅基幹薬局は、居宅療養管理指導の指示を行った医師又は歯科医師に対する訪問結果についての報告やケアマネジャーに対する必要な情報提供等を行うこと。
  ウ 在宅基幹薬局は、薬剤服用歴に当該居宅療養管理指導を行ったサポート薬局名及びやむを得ない事由等を記載するとともに、請求明細書の摘要欄にサポート薬局が当該業務を行った日付等を記載すること。

 [15] 医師又は歯科医師は、薬剤師への指示事項及び実施後の薬剤師からの報告による留意事項を記載する。なお、当該記載については、医療保険の診療録に記載することとしてもよいが、下線又は枠で囲う等により、他の記載と区別できるようにすることとする。また、薬局薬剤師による訪問結果についての必要な情報提供についての文書は、診療録に添付する等により保存することとする。