6 新主張(1)のうち「外部通報該当性」について
(1)E氏は、自身の3名の議員に対する提示行為が公益通報者保護法第2条第3項1号、第3条3号「へ」等に該当すると主張する。
この点、E氏の主張によれば、3名の議員に私的情報の資料は提示しておらず、単に口頭で説明したにすぎないことになるが、当委員会としては、前述のとおり認定したE氏の前記提示行為を前提に検討を進めることとする。
(2)公益通報者保護法上定められている公益通報となるためには、以下の要件を満たす必要がある(同法2条)。
[1]法定の者による通報であること
[2]通報者の役務提供先における事実に係る通報であること
[3]不正の目的による通報でないこと
[4]法定の内容に係る通報であること
[5]現在性または切迫性があること
[6]法定の通報先への通報であること
[7]通報であること
(3)以上[1]~[7]の要件は、通報をした時点を基準に判断されることになるが、このうち1つでも欠く場合には、当該通報は公益通報には該当しないこととなる。まず「[4]法定の内容に係る通報であること」の要件について検討することする。
ア 公益通報対象事実はいずれかの法令に定める罰則違反行為でなければならないという前提があるところ、この点に関して弁明書では、「他の職員に対する、(※罪名につき省略)の疑いを想起させるものである。同刑法違反は、通報対象行為である。」とされている。
イ しかしながら、示された情報からすると記載されている事実が本当にあったかどうかを読み取ることは困難ではなかったかと思われる。
ウ すなわち、当委員会としては、審議の結果、抵触することが疑われるいずれの犯罪についても、構成要件に該当しないとの判断に達した。
エ 弁明書において、E氏は、4つの理由を挙げて「元県民局長が人事権を背景として、(※罪名につき省略)を生じさせたと信ずるに足りる相当の理由があった。」と主張するが(9頁)、本件においてはそれを採用するに足りるだけの資料は見当たらない。
オ また、公益通報対象事実となるためには、少なくとも構成要件の一部が黙示的にでも主張されている必要があるが、本件ではおよそ、E氏の指摘する刑法上のいくつかの具体的犯罪の構成要件の一部が示されているとは認められず、情報自体からそのような構成要件該当事実がうかがわれるとも言えないので、やはり通報対象事実ではない(通報対象事実がない)と言わざるを得ない。
(4)以上によれば、E氏の前記行為は、公益通報者保護法における「通報」の上記[4]の要件を欠くから、その余の要件について検討するまでもなく、公益通報には該当しないことに帰する。
なお、弁明書では、「告発文書の対象者(E氏を含む。)に対する名誉毀損、侮辱、信用毀損」「E氏らに対する虚偽告訴、私企業及び兵庫県に対する偽計業務妨害)」が通報対象事実に当たるとされているようであるが、これはいわゆる告発文書に係る主張であるから、当委員会の調査対象の範囲外である。
<引用者注:既述のとおり、E氏の弁明書の内容が公表されていないので、公益通報の要件としての「法定の内容に係る通報であること」については、正直、この報告書を読むだけではわからなかった。ただし、3県議への(E氏の新主張等によれば)口頭での通報は、「元県民局長がいかに信用できない人物であるか」というイメージ操作のためのもので、「○○行為を行ったから、△△法違反である」というような具体的表現が皆無か、希薄だったのではないかと推測される。「少なくとも構成要件の一部が黙示的にでも主張されている必要がある」ということを満たさなかった、ということかと。
なお、告発内容には直接関係のない告発者(元県民局長)の私的情報を漏えいすることによって、告発文書自体の信用を落とそうとするのは、「不正の目的」に該当する可能性もあると考えられるところ。>
(つづく)