第三者委の報告書27

(2)齋藤知事就任後の変化
 (略)

 イ しかし、県政の問題点は膨大にあり、状況も複雑であったため、数回の報告で県政の現状を細部にわたって齋藤知事が把握できるようにすることは困難であった。
  そこで、幹部職員らは、齋藤知事が就任した後も、就任前と同様、簡易な問題や細かい問題については、これを短い文章にまとめ、秘書課経由で知事に提出していた。幹部職員らとしては、齋藤知事がこれを読み、必要に応じてコメントして返却する形での情報交換ができることを意図したものであった。

 ウ しかし、齋藤知事は、紙ベースから脱却し、仕事をデジタル化することを目指してした。また、働き方改革として、報告書を自宅に持ち帰って検討することの適否も考えていたようで、幹部職員から提出された文書用紙に返答をすることは極めて少なかったようである。

 エ そこで、秘書課の職員は、提出された文書の重要部分に付箋を貼ったり、蛍光ペンで印を付けたりして知事が読みやすいよう工夫をしたが、齋藤知事が提出された文書を利用したコミュニケーションを積極的に活用するには至らなかった。秘書課の職員は、更なる対策として、提出された文書について、その要点をまとめて知事に口頭ないし簡単な図表等で伝えることとした。
  しかし、それでも、必要な点が全て伝えられたわけではなく、知事との面談による協議が実施できなかった問題を中心に、職員と知事との間で認識の共有を図れないことが少なからずあった。

 オ 齋藤知事としても、県政の諸点について過不足なく報告を受け、協議をする必要性は感じていたものと思われる。令和5年4月から、チャットシステムを導入し、報告ないし知事の意見聴取が必要な案件については、同年3月末で廃止された新県政推進室の主要メンバーないし部長クラスの職員を通じて報告を受け、あるいは協議をすることとなった。

 カ なお、齋藤知事就任前に2週間に1度の頻度で定期的に開かれていた政策会議は、次第にその開催頻度が減少し、令和5年度には不定期にしか開かれなくなった。

(3)コミュニケーションギャップ
 以上の状況のもと、面談による知事との協議が実施できなかった職員の中には、知事に対する報告、協議が進まず、政策を進めることができないことへの不満を抱えるようになった者が相当数存在した。他方、知事としても、「聞いていない」と感じる案件が増える結果、知事と職員との間のコミュニケーションにずれが生じる事象が多くなっていたようである。これは、後に述べるとおり、パワハラや不適切な言動が発生する1つの要因、背景事情となったと考えられる。(略)
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前の記事(報告書26)の中でコメントしたように、前任知事時代の手段を全面踏襲すべき、とは私は考えていません。ただ、職員とのコミュニケーションがうまくいっているか、そうでないか、というのは、特に上司の側で十分把握しておくべきで、うまくいっていない面を感じたのなら、前任知事時代の手段を部分的にでも取り入れるという柔軟性はあった方がよいと思います。政策自体は新しい、公約に掲げたようなものを進めればいいでしょうが、「政策会議」や「A4短文でのやり取り」というのは井戸氏が特許権を取っているようなものではありませんし。

なお、秘書課職員が付箋を貼ったり蛍光ペンで強調したり、というのは、アナログではありますが、涙ぐましい(と言ったら怒られるかもしれませんが)努力であり、そういうサポートがあっても斎藤氏に届きにくいというのは、巷で噂されるような斎藤氏のコミュニケーション能力の問題が大きかったのかもしれません。

もちろん、断定はできませんが、細部について理解できなくても概要を理解することに長けた人はいます。将棋でいえば、読みを省略して大局観で指すような。こういう「名人」クラスになれば、チャット等で深夜まで職員に詳細な指示を出さなくても、部下に任せることは任せて、報道機関からの取材も細かい事業については部下に任せて、もっと大きな政策方針について知事や副知事が考える、みたいな役割分担ができたのではないでしょうか。

 

(つづく)