第三者委の報告書19

 ウ 事項6について
  通報対象事実となる可能性のある事項のうち、事項6については、本調査委員会の調査の結果、背任にあたる事実関係は認められなかった(第8章)。
  しかし、以下に述べるとおり、事項6について、通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由(真実相当性)があったものといえる。
  すなわち、通報者である元西播磨県民局長は、
 [1] 令和5年11月に、兵庫県内の信用金庫が対象となる金融機関への補助金(本件補助金)の予算額が、産業労働部の当初要求顎1億円から最終的に4億円と大幅に増額されたこと
 [2] 本件パレードの前々日である同年11月21日に、県から各信用金庫に対して本件パレードの協賛金拠出の依頼があり、本件パレード実施後に県は各信用金庫から2000万円の協賛金の申込みを受け、受領したこと
 [3] [1]に関する財務課への指示、[2]の依頼行為とも、片山元副知事が決定的な役割を果たしたこと
 について他の職員から情報提供を受けるなどして知ったことにより、本件補助金の増額は各信用金庫から本件パレードの協賛金を得るためのものであり、本件補助金の一部が目的外の用途(信用金庫が本件パレード協賛金を拠出したことの補填)のために交付されようとしていた事実があると信じて通報したものと考えられる。(略)
  本件調査委員会の調査によっても、上記[1][2][3]は事実であることが認められた。
  上記[1][2]ともそれ自体にはそれぞれに理由があったことは第8章で記したとおりであるが、外形的にみると、[1]の増額幅が億単位で4倍と極端に大きいことは特別な事実であり、[2]の本件パレード直前に協賛金を拠出することを県が依頼し、各信用金庫がこれに異論なく応じるのも、一般の市民や事業者からすると無理があると感じられる特別な事実であるといえる。
  その上、[3]のとおり、[1]の財務課への指示を行ったのも、[2]の協賛金依頼を行ったのも片山元副知事である事実は、本件補助金のほか、制度融資などの制度設計も所管する産業労働部担当の副知事として県内の信用金庫の利害について大きな影響力のある片山元副知事が、何らかの利益供与をする見返りに本来無理なタイミングで協賛金を拠出させたと外形的に疑われる余地のある要素である。
  当時の状況としても、県として本件パレードの資金調達に大いに苦労し、公費を投入する以外の形で問題を解決しなければならない差し迫った事情があり(第8章参照)、その解決手段として、一方で、政策的に増額できる本件補助金の予算を増やすこととし、他方で、無理なタイミングではあるが特別に本件補助金の交付対象企業に本件パレードの協賛金拠出の依頼をして協力を得ようとするという動機の存在は考えうるものであった。
  以上を勘案すると、[1]と[2]の2つの特別な事実が存在しているところ、さらにそれが、本件パレード直前期と時間的に極めて近接し、いずれにも片山元副知事が決定的な役割を果たしている([3])という偶然に特別な事情が複数重なるとは思えず、[1]と[2]に関連があるという通報者の推測は、通報事実に関係する複数の根拠ある事実に基づく相応に合理的な推論であったといえる。
 (略)
  なお、本調査委員会の調査においても、片山元副知事が本件補助金の予算額の増額を指示した際には、本件パレードの協賛金について各信用金庫に対して2000万円もの拠出を依頼する意思をまだ有していなかったことについて、本件パレードの資金調達の状況を直接知る関係者の詳細な証言や提供されたメールデータを精査して初めて確認することができた(第8章参照)のであり、これに比して、本件パレードに直接関わりのない通報者が本調査委員会と同等の事実調査をして確認することはできず、上記のとおり通報対象事実を推認させうる特別な事情が重なる状況において通報対象事実が存在すると信じたことはやむを得ないものといえる。
  以上によれば、事項6について、通報者が、通報対象事実があると信じたことは、その根拠が単なる憶測や伝聞にとどまるものとは言えず、通報対象事実に関連する複数の重要な事実、及びそれら事実の特殊性を総合考慮した上での相応に合理的な推論に基づくものであったと言えるから、通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由(真実相当性)があったものと認められる。
**********

 

事項6:優勝パレード協賛金と信用金庫補助金、で、事実とは認められないが、「真実相当性が認められる」という結論です。

 

(つづく)