告発文書問題の経緯の整理

兵庫県の告発文書問題の経緯(個人的にまとめたもの。誤りの指摘は歓迎です。)

 

2024年3月
告発文書(12日付) 20日:知事把握
21日:知事が側近幹部に調査指示
 →【コーヒーメーカーを返していないことを知事に伝えた(産労部長、片山氏) 記憶していない(斎藤氏)】
25日:片山氏等が告発者から聴取、PC押収
27日:告発者の解任・退職保留等を公表、知事「嘘八百、告訴等検討」発言 →告発文書は名誉棄損には当たらない(県警見解・3月末)
下旬【第三者委員会の設置を進言(総務部長、片山氏) 記憶していない(斎藤氏)】

<論点>
・3/12告発文書は公益通報に当たるか
 斉藤氏ら:真実相当性がない
 有識者ほか:真実相当性はある →県議会はこちらの方向で不信任決議
・「真実相当性の有無」も含めて、被告発者が判断することは適切か
 多数派は不適切(橋下徹氏、吉村府知事等を含む維新関係者も同見解)
 (適切と主張するのは、斎藤氏などごく一部。ただし、被告発者が調査不可とする明確な条文はない)

4月
4日:告発者が内部通報
16日:産労部長のコーヒーメーカー未返却が判明
中旬頃まで【「懲戒処分は後発の内部通報の調査結果を待つべき」と進言した(人事課) 記憶していない(斎藤氏)】
【「調査結果を待たずに処分できないか」と言われ、藤原弁護士(実は告発関係団体の顧問弁護士)に相談、「法的には可能」との見解(人事課) 言っていない(斎藤氏)】
【「懲戒処分すれば風向きが変わるのでは」と知事が言った(人事課、総務部長) 記憶していない(斎藤氏)】

<論点>
・4月の通報の調査結果を待たずに、3月の行為で処分できるか
 藤原弁護士ら:法的には可能
 有識者ほか:不適切。3月の行為で処分した後、4月の通報の調査でその対応が違法となる可能性がある。たとえ4月通報の調査で処分が相当とされたとしても、先の処分の瑕疵が治癒して有効になるものとは考えられない(山口弁護士)

5月
2日:綱紀委員会 7日:処分決定「核心的な部分が真実ではない」
21日:知事が第三者機関設置表明

6月
上旬頃:片山氏が副知事辞職と引き換えに、百条委設置議案を提出しないように自民県議団に求め、拒否された
13日:百条委員会設置議案可決

7月
7日:告発者自殺
11日:片山氏辞意表明(月末辞職)

<論点>
・告発者の自殺は斎藤氏に責任があるか
 側近幹部が公用PC内の告発者の個人情報を持ち歩き、県議等に示した、との週刊誌報道があった。
 側近幹部は否定している。→結論は出ていなかった。
 ところが、今回、立花氏がPC内に不倫情報が入っていた等と発表した。
 県議や片山氏から得た、中川氏(立候補取りやめ)も知っている、等との立花氏の話を、片山氏も中川氏も否定。
 県議ではないが、維新・掘井健智氏(当時、衆議院議員)が、告発者の不確かな個人情報を漏らしたということで、同党幹事長から厳重注意を受け、自身の公式サイトに謝罪文を掲載している。
 確証はないが、維新系の誰かが告発者の個人情報の漏洩に関わった可能性はある→事実なら、自殺への直接の引き金を引いたのは、維新関係者ということになる。
 ※3月告発文書の斎藤氏らの対応に問題がなければ(あるいはPC内の個人情報を県議等に漏らさなければ)こういう事態になっていないので、斎藤氏らに責任が全くないとはいえない(側近幹部が斎藤氏の意向に無関係に漏らした場合には、部下の監督責任として問われる)

8月~百条委で証人尋問等

9月19日:不信任決議 30日:知事失職

【 】内は、知事とその他の証言者とで発言に食い違いがあるもの(いずれかに偽証の疑いあり)

 

<参考>
文書問題調査特別委員会運営要領(抄)
1 調査事項
 令和6年3月12日付け元県民局長の文書に記載されている7項目の内容の真偽に関連する事項(注:元局長の個人情報は調査対象とされていないことに留意)
7 委員会の基本的な運営
(1)委員会の会議は原則公開とし、インターネットによるライブ中継及び録画配信を行う。ただし、公開することにより事実関係が解明できないおそれがあるとき、個人のプライバシーに関わるとき等は、委員会の議決により秘密会とすることができる。
(2)委員は、秘密会で知り得た情報は他に漏らしてはならない。
(3)委員会の調査は、基本的人権に最大限配慮して行う。
8 傍聴
(3)委員外議員は秘密会も傍聴できるものとする。ただし、秘密会で知り得た情報は他に漏らしてはならない。
(4)撮影・録音は報道機関のみとする。ただし、撮影は委員長が指定した場所から行うものとする。

 

・もし百条委の録音データ等を外部(立花氏等)に漏らした場合は、上記要領に違反し、また県議会の懲罰対象となり得る。
・特別委の委員長が秘密会とすることを主導し、また出席者が告発者の個人情報に触れることを制止したとしても、上記要領の1の範囲外であるから当然の対応。
・なお、「兵庫県議会の保有する個人情報の保護に関する条例」には、個人情報の目的外使用や、利用・提供の制限の規定がある。

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ということで、告発者の個人情報が不倫関係であれ何であれ、斎藤氏に責任が全くないとはいえない。
(ただし、斎藤氏の責任の本丸はそこではなく、3~4月の対応、特に告発の対象者が調査や判断を行い、処分したこと

なお、外部(維新系議員、立花氏等を含む)に情報を漏らすのは不適当(ほぼ違法。秘密会出席または傍聴の県議が立花氏等に情報提供するのは、公益通報に該当しないのは明らか)→疑う方は法律を確認してください