パラ・マラソンの順位繰り上がり

【パリ・パラリンピック】道下美里は連覇ならずも銅 スペイン選手失格で繰り上がり マラソン視覚障害女子
スポニチアネックス 9/8(日) 18:46配信

 マラソンが8日に行われ、視覚障害(T12)女子で21年東京大会覇者の道下美里(47=三井住友海上)は3時間4分23秒で銅メダルにとどまり、2連覇を逃した。トラック種目の1500メートル(T13)で銀メダルのファティマエザフラ・エルイドリシ(29=モロッコ)が、道下が20年12月にマークした世界記録を5分以上も更新する2時間48分36秒の世界新で金メダルを獲得した。
(略)
 男女同時スタートで後方から走り始めた道下は、5キロ地点を21分14秒で通過。だが、スタートから先頭に立ったエルイドリシは18分25秒で、早くも2分49秒差をつけられた。過酷なコースに持ち味であるレース猛半も苦しみ、4番目にフィニッシュしたが、3番目にゴールしたエレナ・コンゴスト(36=スペイン)が競技終了後に失格となり、銅メダルに繰り上がった。
(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5fa70e2a25d9d7141693c35ee1ad380cebb4bba5

 


これだけではよくわからないと思いますが、テレビ中継の解説者は、コンゴスト選手が3番目にゴールしたときに、彼女の失格の可能性に言及していました。

これを書いている時点で、日本のメディアで失格の事情について詳報しているところはなさそうですが、関係選手名をローマ字で検索したりして見つけたスペイン語のメディアによると

 

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エレナ・コンゴストはガイドが先にゴールラインに入ったため銅メダルを失った
後数メートルでガイドがけいれんを起こし、コンゴストがガイドを引っ張らなければならなかったが、最終的にはガイドが先にゴールしてしまった。
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ということのようです。(※)

実際、中継画面でも、コンゴスト選手のガイドランナー(けっこう年配の男性のようにも)は疲労困憊という感じで、コンゴスト選手の方から声かけして励ましているようにも見えました。

通常のガイドランナーと役割が逆ですね。

で、頑張って進んだ結果、ゴールラインを通過したのがガイドランナーの方が一瞬、早くなってしまった、と。

 

そのガイドランナーを責めるつもりはありません。

また、道下選手の銅メダルの価値が下がるとも思いません。
道下選手(と、彼女のガイドランナー)は、期過酷な環境の中、ルールどおりに最後まで走り、結果として銅メダルに届いた、ということ。
立派なメダルです。

 

ただ、パリは東京よりは涼しいのだろうとは思いますが、それでも猛暑期の7月下旬~9月上旬にオリンピックやパラリンピックを開催することについては、無理があるのではないかと思います(世界新で優勝したモロッコ選手はさすがでしたが、道下選手の後にゴールした中国選手もかなり疲労していたようで、今確認したら、やはり失格となっていました)。

巨額の放送権料を支払う米国の放送局の都合があるにしても。

 

ちなみに、道下美里選手のタイムは、

東京パラリンピック:3時間0分50秒(金)
パリパラリンピック:3時間4分23秒(銅)

ということで、現地時間8時ごろ出発ならゴール時点で11時過ぎ。
(東京パラはもっと早い時間だったと思いますが。)

 

【2024/09/10 追記】

※ 読売新聞(2024/09/09 20:42、紙媒体では9月10日朝刊)によると、

 8日に行われた陸上の女子マラソン視覚障害T12)で、3着でゴールしたエレナ・コンゴスト(スペイン)が失格となった。規則では「テザー」と呼ばれるガイドロープを外すなどの行為は禁止されているが、ゴール直前にふらついた男性伴走者(ガイドランナー)の手をコンゴストが直接握ってしまった。
https://www.yomiuri.co.jp/olympic/paralympic2024/20240909-OYT1T50201/

 

とのことです。視覚障害の選手本人がガイドランナーを支えようとして失格になってしまった、ということで、競技の趣旨から考えても非常に気の毒なケースだろうと思います。

もちろん、道下選手の銅メダルは、ルール上、全く問題ありませんが、この時期(時間帯を含む)、この場所でのマラソン実施がどうだったか、という疑問は消えません。

パリ自慢の石畳も、視覚障害者はけつまずきやすく、車いす競技者には走らせにくい、アスリート・ファーストとは言い難い「見映えだけのコース」ではなかったでしょうか?