つくば市の生活保護不祥事、現役市職員が業務適正化求め議会に請願
朝日新聞デジタル 9/5(木) 11:27配信
生活保護業務を担当していた茨城県つくば市職員が、不祥事が相次ぐ元職場の業務内容の適正化を求める請願書を9月議会に提出した。市議会は3日、議論する特別委員会を設置した。
生活保護業務を扱う社会福祉課では今年度になって、一部職員への時間外手当の未払いや、障害者への生活保護費の誤支給などが明るみに出た。請願書を出した職員は、今春までこの課に在籍していた。
請願書で職員は、「不適正事案の具体的な内容や、発覚の本当の経緯が示されていない」などと指摘。在任中に労務環境の改善などを訴えていたが、管理職から「逆ハラスメント」と言われて敬遠されたとも主張している。また、「公の奉仕者として、市民の信頼にこたえたい」として、組織の根本的な改革を求めた。
請願書の内容が福祉保健、総務文教の二つの委員会にまたがるため、市議会は両委員会の議員13人でつくる特別委員会(長塚俊宏委員長)を設置した。
また、この職員とは別の元担当者も、公益通報の実効性を担保できる外部窓口の設置などを求める陳情書を9月議会に出した。(鹿野幹男)
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つくば市は7月、10年以上にわたり、障害者20人に生活保護費の加算金計約1360万円を誤って多く支給したと公表した。発覚の経緯について「今年2月、県からの状況確認で判明した」としているが、実際にはもっと早く改善できたはずだった。
市や県によると、このミスが判明する4年前の2020年1月、会計検査院が加算認定に必要な解釈について、当時の管理職や担当者に指導していた。市は「(管理職らが)指導の内容を理解していなかった」と説明している。
内部でも是正を求める動きはあった。関係者によると、22年11月、管理職らが出席した会議で、社会福祉課の職員が加算認定の誤りを文書で報告した。対象者に経緯説明とミスの謝罪をすることや、対応策を提案したが、職場で共有されることはなかった。
取材に対し、根本祥代福祉部長は文書の存在を認めた上で、「数年前のことで事実確認が難しいが、実態の調査を進める」と答えた。
時間外手当未払いの責任をとって給与を減額した五十嵐立青市長は先月8日の会見で、「(一連の不祥事は)同じ部署で起きたこと。きちんと調査する」と述べた。
それから10日余りたった21日には、新たなミスが明るみに出た。23年度までの10年間にわたり、生活保護費に絡む国庫負担金の請求を怠っていた。このケースでも昨年、職員がミスを管理職に報告していたが、放置されていた。(鹿野幹男)
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■社会福祉課をめぐる不祥事の経緯
20年1月 会計検査院が生活保護費の障害者加算を巡り市を指導
22年11月 課の職員が障害者加算の誤りを職場内で指摘
23年12月 情報提供を機に、障害者加算の誤りなどを県が把握
24年1~2月 県が課の状況を確認
5月 一部職員への時間外手当未払いを公表
7月 障害者加算などの誤支給を公表
8月21日 10年間分の国庫負担金の請求漏れを公表
https://news.yahoo.co.jp/articles/9315097f323e035bbc7fc7202273729a5a15e299
国庫負担金、請求せず 茨城・つくば市 10年間で1771万円 生活保護費返還の債権管理事務に不備
茨城新聞クロスアイ 8/21(水) 21:53配信
茨城県つくば市は21日、生活保護費の返還を巡る債権管理事務に不備があり、国庫負担金を適切に請求できないミスがあったと発表した。記録が残る2014年度から23年度までの10年間で174件計1771万円余りを請求していなかった。
生活保護費が過大支給された場合は過大分の返還が必要で、市町村は当事者に督促したり、当事者が死亡した場合は相続人などに対する債権管理を行ったりする。最終的に返還されなかった場合は不納欠損扱いとなる。欠損額の4分の3は国庫負担金で賄われる仕組み。
市社会福祉課によると、国庫負担金の請求に当たっては督促状の記録などの債権管理情報を書類に記入する必要があるが、職員が十分に記録を残しておらず国に請求できなかった。13年度以前は記録を破棄しており、確認できなかったという。
同課職員(当時)が昨年10月に気付いて管理職に伝えたが改善されず、今月9日に改めて福祉部長に申し出て判明した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c2264b109b2337971996bcd7621a7c306f98c5ef
ながながと引用した割にわかりにくいかもしれないので、別の報道から箇条書きでピックアップしてみます。
生活保護行政の適正化求め市職員が請願 市議会は異例の特別委設置 つくば市
NEWSつくば 2024年9月3日
https://newstsukuba.jp/53175/03/09/
・職員は過酷な業務に追われ、例えば(仕事が終わらず)金曜のうちに自宅に帰れず土曜日の始発で帰る職員がいた。その職員が始発で帰ろうとした土曜日朝5時、子供が寝ている時間に仕事をするため職場に来た別の職員と会うなどの勤務実態があった。
・2023年度に市職員が生活保護受給者宅を訪問した際、暴行を受けた事案について、管理職から対応策の指示があったのは3週間以上経ってから。
・指示内容は「危ないと思う場合は2人で訪問してよい。気を付けて訪問するように」というもの。護身術講座もあったが指導内容は「間合いを取ること、バインダーやペンで応戦すること」などで現実的対策とは思えなかった。
・生活保護の困難ケースについて法解釈を話し合うケース診断会議の場で、管理職が「これは感覚の問題」と発言したり、同じ会議の場で保護開始と決まったケースが、その後の管理職の決裁で「取り下げさせろ」と命令されたり、先輩職員から「何が正しいかはその時々の管理職が何て言うか次第」と言われるなど、法解釈の誤り以前の状況があった。
・ケースワーカーは現金を取り扱わないことになっているが、県からの指摘で今年1月に取り扱いを改めるまで、管理職の机の引き出しから金庫のかぎを取り、別の管理職の後ろにある金庫から現金を取り出すなどしており、県の監査に対しうその報告していた。
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う~ん・・・
生活保護など福祉分野は、首長さんによっては関心が薄いかもしれませんが(たとえば「肝いり事業」について部下が記者発表等で目立つと機嫌が悪くなる知事とかはどこかにいるようですが)、これが事実なら、この市もひどすぎるんじゃないですか?
そもそも、市職員個人が、職務に関することで議会に請願、ということ自体、相当に異例のことだと思います。