「釈放」と言われ数十m歩くと「そこまでだ」、撮影後に再び拘束…露軍プロパガンダ動画にウクライナ人利用
読売新聞オンライン 8/22(木) 7:11配信
【キーウ=倉茂由美子】24日に2年半を迎えるロシアのウクライナ侵略では、侵略を正当化するためロシアが流布するプロパガンダや偽情報にロシア占領下のウクライナ人が協力を強いられている。露治安当局に拘束され、プロパガンダ動画に出演させられた女性が本紙に実態を証言した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/aad35f998f7c6b7ec64cbbd64eaef596432a76a5?page=1
以下、抜粋というか箇条書き。
・この女性は南部ザポリージャ州カミアンカ・ドニプロウスカの地元公務員だったヤフポワさん(51)
・2020年10月に拘束、警察署に連行された。
・頭にビニール袋を被せられて首を絞められ、頭部を殴られるなどの拷問を5時間にわたり受けた。
・翌日、自身の別荘に連行された。ウクライナ国旗1枚しか出てこなかった捜索が一通り終わると「テロリストのアジト」として仕立てるための撮影が始まった。
・地下室には、あるはずのない対戦車ロケット弾やウクライナ兵のバッジなどが置かれ、あたかも捜索で発見したかのように演出された。
・「指示通りに話せば家に帰す。さもなければ撃ち殺す」と兵士に脅された。
・露国営通信の記者が向けるカメラに対し、「私はウクライナ人部隊に協力し、標的となる建物の位置情報を送った。彼らはそこに攻撃を命中させた」と虚偽の説明をさせられた。
・公開された映像では、記者の質問は全てカットされ、自発的に証言したように編集されていた。
・約束は守られず、帰宅は許されなかった。過激派を支援した罪で5か月間収容された。
・2023年1月中旬には、「あなたたちを釈放する」と、ヤフポワさんら3人に告げてパスポートを手渡した。クライナ側へと歩くよう指示し、報道陣はその様子を撮影した。当局者はカメラの前で「ロシアの法を犯したウクライナ人を寛大に解放した。交通費まで持たせた」とコメントした。
・数十メートル歩いたところで「そこまでだ」と制止され、車に連れ戻された。これもただの撮影だった。
・翌日、拘束したウクライナ人への人道的な対応として、露メディアが放送した。
・2023年1月中旬からの収容所では、露軍用の塹壕掘りに従事させられた。午前6時から翌日午前4時まで掘り続けたこともあった。露軍兵士の食事の準備や掃除も強いられ、性的暴行も繰り返し受けた。
・強制労働は、露軍や地元当局が人件費を着服するために行っていたとみられ、ヤフポワさんは同年3月、不正の発覚を機に解放された。体重は20キロ減っていた。
・ロシア国営テレビの番組や国防省のSNSなどでは、ウクライナ人捕虜が自国を批判する映像が頻繁に流れている。
・露政府は2023年、プロパガンダを広めるための予算として、国営メディアなどに約16億ドル(約2300億円)を投じた(リトアニアの偽情報対策研究機関「デバンク」の分析)。
・露国営テレビで反戦ポスターを掲げて国際的な注目を集めたオフシャンニコワさんの著書による情報
露国営メディアはプーチン政権の「プロパガンダ工場」。政権にネガティブなニュースは報じない社内ルール。政権に有利な虚偽情報を客観的なニュースであるかのように広める役割すら担っている。
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事実関係がわかりやすいように、散文的に内容を抜き出してみましたが、元記事は、ヤフポワさんの証言の真実性が伝わってくるような文章になっていると思います。
驚きとか怒りとかよりも、まあロシアならありそうだな、となってしまいそうになるのは、感覚がマヒしかけているのかもしれません。
ロシア側には報道の自由が実質的にないので、(西側とロシアとの間の)信頼性に大差、ということもありますが。
参議院議員・鈴木宗男氏が、「ロシアにも言い分がある」とときどき主張していますが、こういう「でっち上げ」の言い分が大部分か、ほとんど全部か、のように思えてきました。
鈴木氏のブログでは、読売新聞の記事がときどき引用されていますが、こういうロシアのプロパガンダ関係の記事については、全く触れていないように思われます。
鈴木氏にとって不都合なら、「読売記事は西側のプロパガンダだ」というような批判でも(根拠があれば)いいと思うのですが、できない理由があるのかな?
ちなみに、在日ロシア大使館等からも、読売新聞社に対して抗議があった、という情報は確認されていません。
下手なこというと、ヤブヘビになるからでしょうか。