G20の多くはロシア併合にNO

今年5月の当ブログ「G20も親露じゃないよ」
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2024/05/09/212829

の資料などを見直していたら、

鈴木宗男氏の6月17日のブログで、

 

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 G7首脳声明で中国に対し、軍民両面で利用可能な物資のロシアへの停止を要求しているが、なんと身勝手な話だろうか。自分たちはウクライナに武器、資金供与をしておきながら、他の国がそれぞれの判断で行うことを駄目だというのは一方的な価値観の押し付けで、納得がいかない。難癖を付けるより「停戦、和平」へ向けて提言すべきではないか。
 G7の歴史を振り返る時、1975年(昭和50年)、G5(米・英・仏・独・日)でスタートしその後、イタリア、カナダが加わった。
 当時、G7で世界経済の8割を占めていたが、現在4割に下がっている。今、世界経済の8割はG20である。G20はG7プラス、ロシア、中国、インド、ブラジル、韓国、オーストラリア、アルゼンチン、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、トルコ、南アフリカアフリカ連合である。
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と、また以前と似たようなことが書かれていました。

まず、「G7首脳声明で中国に対し、軍民両面で利用可能な物資のロシアへの停止を要求している」のは、ロシアの侵略行為が国連憲章違反であり、国連総会で複数回(概ね140か国以上の賛成により)ロシア非難の決議が成立している以上、それなりの根拠、大義名分はあります。
また、中国も、表向きにはロシアへの軍事支援を否定しています(ので、裏でしているとしても、公式には認めないでしょう)。

一方、欧米諸国がウクライナを支援することは、ブダペスト覚書の理念に沿った行為といえます。
覚書に反してウクライナ侵略したのはロシアです。
ウクライナの「独立、主権、既存の国境線を尊重」するために支援する欧米諸国を非難するのは、強盗が駆けつけた警備員に文句を言うようなものです。

鈴木氏はよくブダペスト覚書について名称も内容も間違えるので、こちらで勉強した方がいいよ。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2023/07/13/210958


さて、G20
その総意が親露、あるいはロシアのウクライナ侵攻に対して融和的であるかのような印象を与える書きぶりを知ったら、多くの国の首脳は苦笑するでしょう。

ロシアが占領中のウクライナで「住民投票」なるものをでっちあげ、「併合」したことに対して「無効」であると国連総会で決議されましたが、そのときの賛否についてG20各国等を色分けしたものが、下表です(5月9日の当ブログの資料に、ちょっとだけ追加修正)。

 


G20(国連加盟国としては19か国)のうち、決議に賛成した国(つまり、ロシアにノーを突きつけた国)は14か国、GDPにして世界の55.7%を占めます。
棄権は中・印・南アフリカの2か国(2大国が入っているので、さすがにGDPは20.6%を占めます)。
G20中の反対は、もちろんロシアだけ。BRICS(拡大後)でもロシアだけ。

G7が世界を支配している、とは私も考えていません。
しかしながら、GDPで世界の8割弱を占めるG20も、そのGDPにして7割超がロシア併合にノーと言った国です。

 

まあ、鈴木氏がGDP割合で「ロシアの正義」を主張しようとするとしたら、それ自体に無理があるというもの。
経済大国や軍事大国が自分の利益を押し通して、小国や法の支配を犯すのなら、国連憲章に何の意味があるのか、現職国会議員の鈴木氏に問うてみたいです。