駐日中国大使の発言その2

駐日中国大使の、前記事で触れた箇所よりちょっと前の、発言より。

 

中国の呉江浩駐日大使の「日本の民衆が火の中に」発言の詳報
産経新聞 5/30(木) 21:46配信

3つ目は中国はなぜ台湾地区のWHO(世界保健機関)総会、またほかの国際機関への参加に反対するのかですが、それは国際法によって中国の一部である台湾地域は国連を含む主権国家しか参加できない、全ての国際機関に参加する権利がないからであります。

台湾地区のWHO総会参与についても、一つの中国という原則に従って処理する必要があります。これは国連総会第2758号決議WHO総会25・1号決議で確認された原則であります。

民進党は台湾独立の立場にかたくなに固執し、台湾地域のWHO総会参加の政治的基盤を失い、自らその扉を閉じました。一方、中国中央政府はひとつの中国という原則の前提の下で、世界保健事業への台湾地区の参加に対して、適切なアレンジメントをしております。
台湾島内あるいは国際的公衆衛生の緊急事態が発生した場合、台湾地区が十分対応できるよう確保しております。台湾地区とWHOの技術的コミュニケーションのルートは開かれており、台湾同胞の健康権利が十分に保証されています。いわゆる地理的空白や防疫システムの隙間が存在しません。日本側が台湾のWHO総会参加を支持することは完全に政治的意図によるものであり、中国側としてはもちろん反対しなければなりません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a99b4c08a2de6642099b79e77c18d3bbf1e4970f?page=3

 


以前から書いたかもしれませんが、ウイルスや細菌は、人間が引いた国境などには関係なく広がっていきます。
中国政府が根拠の乏しい主張をして、弱腰のWHO事務局が妥協したとしても、病原体は忖度してくれません。

国際政治?
それがどうした、っていうものです。ウイルスや細菌にとっては。

議決権はともかく、オブザーバー参加も認めないのは、世界人類の健康に対する犯罪でしょう(主犯:中国政府、従犯:WHO事務局のエライ人)。

 

さらに問題なのは、中国政府のシステムというのが、公衆衛生上の対策とは、きわめて相性が悪いこと。
(感染が爆発的に拡大した後に、国民に厳しい制限をかけるのには向いている体制かもしれませんが、パンデミックになる前、あるいはパンデミックの初期の間に抑え込むには向いていません。)


たとえば、私のこの過去記事の後半部分。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/01/04/220615

 

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たとえば、新型コロナウイルスの感染拡大について、中国湖北省武漢で2019年夏に始まっていた可能性が高いとする情報がありました。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2021/12/19/154228

真偽のほどは明らかにはなっていませんが(私は夏かどうかはともかく、公表された12月よりは多少なりとも早い時期には広がっていた可能性は十分にあると考えていますが)、もし、現場の武漢市や湖北省の当局者が、中央政府に報告することを躊躇していなかったら、そして、中央政府が早期に抑え込むか、できなかったとしてもその情報をWHOなど国外にも公表する決断を中国トップが行っていたら、中国内外でこれだけ多数の人間が生命を失うこともなかったのではないでしょうか。

習近平氏の判断力については、この際、論評しません。
習氏の判断力が優秀であったとしても、正確な情報が集まってこなかったら、正しい判断を行うことは困難ですから。
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中央政府が怒る」「上司が不機嫌になる」ということに対する恐れを優先させるような衛生官僚は、役に立ちません。
パンデミックの初期あたりに警鐘を鳴らし、黙らせられた中国人医師(その後死亡)のような勇気ある専門家がいるのに、圧殺して感染を世界中に広げてしまった中国政府関係者が、WHOに関して台湾を批判するのは、百万年早いでしょう。