裁判員制度15年

けさ、5月26日の読売新聞「編集手帳」より抜粋。

 

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一般の人が刑事事件の審理に関わるようになって、今月で15年を迎えた。
(略)
とはいえ、人気があるかというと、疑問符を消せない◆3人に2人は辞退するという。裁判員のために特別休暇を設ける企業は少ない。こうした環境の問題が前進しないのも今一つ制度の意義が社会に伝わっていないからだろう。官選裁判官に任せていいのかといえば、この頃では為政者の強大な権力が司法の独立を妨げる国が目立つ。司法への市民の参加がどこか貴重に思える昨今である。◆裁判員制度も、国民の自由と権利の尊重に価値を求める民主主義の一部といえないだろうか。
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当っている部分もあれば、ちょっと的外れのような印象の部分もあります。
官選裁判官」の判決であっても、こと裁判員制度の対象となるような訴訟については、それほど違和感が多いというほどではなく、あっても控訴や上告が可能です。
そして、高裁や最高裁で、一審の裁判員裁判の判決がひっくり返される例は少なくありません。

まあ、それは仕方がないのかもしれません。

 


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Q:裁判員制度ではどんな事件の裁判をするのですか。

A:裁判員裁判の対象事件は、一定の重大な犯罪であり、例えば、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、覚醒剤取締法違反(営利目的の密輸入)、危険運転致死罪などがあります。
なお、裁判員裁判は、地方裁判所で行われる刑事事件が対象になり、刑事裁判の控訴審・上告審や民事事件、少年審判等は裁判員裁判の対象にはなりません。
刑事裁判は、全国で毎日行われており、令和元年には地裁だけで約6万7000件の刑事事件の起訴がありました。すべての刑事事件に裁判員制度を導入すると国民のみなさんの負担が大きくなるため、国民のみなさんの意見を採り入れるのにふさわしい、国民の関心の高い重大な犯罪に限って裁判員裁判を行うことになったのです。
https://www.saibanin.courts.go.jp/qa/index.html

 


↑こっちの考え方の方に問題があるような気がします。
これらの重大犯罪は、量刑の決め方に差はありますが(たとえば裁判員は性犯罪系を重罪と考え、官選裁判官は過去の判決との整合性を重視する傾向)、有罪無罪については、あまり差はないように思います。

 

差があるとすれば、刑事裁判なら政治家の犯罪であり、刑事裁判でなくてよいのなら家族観、社会意識に関するような行政訴訟民事訴訟ではないでしょうか。

 

たとえば、政治資金の不正問題や、選択的夫婦別姓LGBTなど性的少数者の法的権利に関するような訴訟です。
これらの問題について、本来は最高裁の弁論あたりで一般国民の代表の声を聴く機会があってもよいと思います(判決自体は最高裁判事15名の合議でもやむを得ないでしょう)。
無理なら、地裁レベルでもいいから、裁判員の声が反映されるようにしてがいかがでしょうか。

 

殺人罪などとは性質が異なりますが、
「国民の関心の高い重大な」裁判ではあると思うのですが。