ゴミ拾いは「特別背任」よりも素敵だ

「ゴミ拾い褒められて喜ぶ奴隷根性」 W杯日本代表&サポの清掃、大王製紙元会長がブチギレ批判「気持ち悪い」
J-CASTニュース 11/25(金) 12:15配信

 大王製紙元会長の井川意高氏が、サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で日本代表チームが更衣室を清掃したことや、日本サポーターがゴミ拾いをしたことをめぐり、怒りを爆発させている。

 2022年11月24日から25日にかけ、「こういうの気持ち悪いからやめて欲しい」「ゴミ拾い褒められて喜ぶ奴隷根性」など厳しい見解を示した。
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 井川氏は24日、自身のツイッターに「こういうの気持ち悪いからやめて欲しい ただの自己満足 掃除人の仕事を奪ってる」とツイート。グループステージ第1戦でドイツに2-1と逆転勝利した日本代表が、更衣室を綺麗に片付け「ありがとう!! JAPAN」と書いた紙や折り鶴を置いて感謝を表したことを国際サッカー連盟FIFA)がツイッターで紹介したことに対し、苦言を呈した。

 FIFAが公開したスタジアムでゴミ拾いをする日本人サポーターの動画も引用し、「これもな 他人の職を奪うな」とした。

 井川氏は、ゴミ拾いを褒められて喜ぶマインドを批判している。

「まあ端的にいってサッカー場のゴミ拾いしたことを褒めてもらって喜ぶくらいしか 日本人の自尊心を満たせることがないくらい誇れるもののない貧しい国になったということだ 赤ちゃんが泣いたら文句つけるような国民の美徳? 笑わせるな」
「なんども繰り返すが サッカー場のゴミ拾いを褒められて有頂天になる日本人が悲しい そんなちっぽけな自尊心が満たされてうれしいか? オレには世界からの誉め殺しとしか思えない」

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 井川氏は「そもそも海外で評価されてるということを喜ぶ奴隷根性が嫌いだわ」として、「基本的に外国人が他国人を褒めるのは本心ではない 内心揶揄しながら相手が舞い上がれば得すると思って褒めてるんだよ」と持論を展開している。

 これ以外にも「とにかくオレが嫌いで気持ち悪いのは対象が何であれ 無批判に称賛崇拝すること バカの証明」「日本人の劣化が口惜しいんです ゴミ拾い褒められて喜ぶ奴隷根性に 大和民族が成り果てたことに憤ってるのです」と繰り返し厳しい姿勢を示した。一方で試合結果については「ドイツに勝ったことはむちゃくちゃ喜んでますよ~」と歓喜している。

 前東京都知事国際政治学者の舛添要一氏による「日本のサポーターがスタジアムの清掃をして帰るのを世界が評価しているという報道もあるが、一面的だ。身分制社会などでは、分業が徹底しており、観客が掃除まですると、清掃を業にしている人が失業してしまう。文化や社会構成の違いから来る価値観の相違にも注意したい。日本文明だけが世界ではない」とするツイートも引用し「身分社会では軽蔑までされますよね」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/20bae0852e0fa15b136a611ba36473551c44fd44

 


井川意高氏は、大王製紙創業家に生まれ、社長、会長などを歴任しながら、カジノなどで多額の借金をつくり、特別背任で実刑判決を受けた人物です(ということは、一応、罪を償ったということではあります。反省はしているかどうかわかりませんが)。

 

さて、代表チームにせよサポーターにせよ、清掃についての賞賛の記事が出た際に、業として掃除を行う人たちの職を奪う、という批判は出る可能性があると思っていました。
カタールなど中東産油国は、特に国外からの出稼ぎ労働者が多いですから。

 

ただ、そういう労働者の就労環境については、欧州諸国からを始め何かと批判が多いのは事実です(今大会でも開会前から話題になっていました)。
日本関係者がスタジアムやロッカールームの清掃を行うことによって、かれら労働者の処遇が直ちに良くなったり悪くなったりすることは、もちろんないとは思いますが。

 

もともと、中国や朝鮮半島などの儒教社会では、知識人や身分が上の階層の人間は、肉体労働は行うべきではないというように卑しまれていました。
日本も、儒教を含めた大陸文化は入っていましたが、長期の武家支配文化が功を奏したのか、自分で自分のことをするのは卑しくない、むしろ奨励されるようになってきました。
そして、たとえば学校で児童生徒が自分たちの教室などを掃除するのは、日本を真似て導入される国が増えてきているようです。

 

中東産油国は、多くは(少なくとも欧米流の)民主主義社会の要素は少ないですし、またオイルマネーもありますから、国外からの労働者に汚れ作業、肉体労働などを委ねる構造は、すぐには変らない可能性がかなりあります。
しかし、中東で意外に(井川氏のような方にとっては意外だろうという推測です)尊敬されている先進国の日本人が、サポーターも代表チームも自ら清掃を行うことを厭わない、という光景は、中東の人々の心理や社会構造を、将来的に少しずつでも変える方向に進める可能性はあると思います。

 

いや、国外からの労働者に肉体労働を任せるのはいいんです、この際。
労働者たちの就労環境が、少しずつでも改善されるきっかけになれば。

 

ということで、やはり私は、日本代表チームもサポーターも誇らしく思います。
少なくとも、数十億レベルの犯罪を犯した井川氏よりは。

あ、舛添氏よりは、と付け足してもよいかもしれません。