参院選公約斜め読み1

もう参議院選挙が終わったので、各党の公約について、ぼちぼち雑感を書きます。

 

では、まず、新型コロナ感染症について、感染症法上の2類から5類に変更するという公約について。
これは、日本維新の会の主張です。

 

これについては、<コロナ死者数報告漏れと「5類化」議論>
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/06/29/212251

で書いたように、「5類化」について議論すること自体は、当然アリだと思います。
しかし、選挙公約とするのは、きわめて不適切。
賛成意見が多いから「民意」で5類に、
ではなく、
その時点での科学的根拠により判断されるべきものです。

そのためには、正しい統計数値が必要なのですが・・・
大阪市のように、正確な数値が入力されていない自治体があることは大きな問題です。
こういうことは、公約に挙げなくても国会内外で議論していただいて結構ですから、
まず正確な現状把握ができるように保健所などの機関を強化してください。
維新市政は職員を増やすことに抵抗感があるかもしれませんが、たとえそうでも、たとえパソナから派遣を受けてでも正しい状況把握に努める必要があります。

 

さて。
仮に5類に変更した場合、課題が少なくとも2点あります。

 

第一に、患者の医療費負担は(原則)3割のままでよいか。
 現在は、全額公費負担で、患者にも、患者が入っている保険にも、負担は生じません。
 自己負担が生じるとなると、受診やPCR検査などを拒否する人が増えないか、それにより感染が拡大しないか、それとも5類化しても(少なくとも当面は)公費負担のままでいくのか、そのあたりを明確にして議論することが必要と思われます。

 

第二に、2類並の厳しい面会制限を継続するのか。

おりしも、こんな報道が。

 

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大阪コロナ「黄色信号」で高齢者施設の面会は原則自粛
関西テレビ 7/12(火) 1:08配信

大阪府は新型コロナの対策本部会議を開き、府民に警戒を知らせる大阪モデルの「黄色信号」を点灯すると決めました。

大阪府吉村洋文知事】
「第7波の入口に入っているとみるべきだと思います。大阪モデルの黄色信号に該当しますので本部会議でその判断をしたいと思います」

大阪府では、7日間ごとの感染者数が直近の前の週と比べ2倍以上に増えるなど感染が急拡大しています。

大阪府は対策本部会議を開き、病床使用率が20%を超えるなど基準に達したとして、府民に警戒を呼び掛ける大阪モデルの「黄色信号」を点灯すると決めました。

また、吉村知事は「感染が広がりやすい場所への防波堤を高くしたい」と話し、高齢者施設などへワクチンの4回目接種や、面会の原則自粛を要請するということです。
最終更新:7/12(火) 1:08
https://news.yahoo.co.jp/articles/536628f16958f9ee84814ba197204ca5d1e38a78

 


こういう件ですね。
現状、新型コロナでは、感染して重症化した患者が入院先で危篤になったとしても、家族は臨終に立ち会えません。
(オンラインや防護服着用など、「直接手を握ってではない面会」を除く。)
それどころか、本人も家族も陰性であったとしても、長期間、施設や病院での面会ができない時期がありました。


今、大阪府では、また面会制限しようとしています。
施設や病院のスタッフが、一般の家庭から通勤している以上、面会だけ制限しても、入院・入所者の感染は防ぎきれないと思うのですが・・・

 

社会生活上は5類にするけれど、人生の最期の場では2類相当のまま、というのが維新の主張ですか?
また、そうでないとすれば、医療機関や施設関係者に面会制限を緩和するように説得する自信がありますか?

 

これは、そういう方向を全否定しているわけではありません。
ただ、こういう難しい部分も含めて議論、検討しなければ、5類化について、医療関係者や国民の理解を得ることは容易ではないと思います。

そこまでの熟慮というか覚悟があって公約に挙げたのではないような気がしますが・・・どうなんでしょう?