「本土復帰50年」といいますが

50年前の今日、5月15日、米国の施政下にあった沖縄が日本の施政下に復帰しました。
「本土復帰50年」などとテレビでもネットでも表現されていますが、「本土」ってなんでしょうか?

 

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沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律
第二条 この法律において「沖縄」とは、硫黄鳥島及び伊平屋島並びに北緯二十七度十四秒以南の南西諸島(大東諸島を含む。)をいう。
2 この法律において「本土」とは、沖縄以外の本邦の地域をいう。
(以下略)
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というあたりが根拠になっていそうではありますが、なんか違和感があります。


「日本の施政権下に復帰」とか、それが長いのなら「日本復帰」とかの方が妥当なように思います。
米国領土に近接していた土地が、物理的に日本本土のそばに戻ってきたわけではなく、日本列島や、その一部をなす南西諸島の位置関係に動きはないのですし。

 

そして、「本土並み」というのには、少なくとも50年前は、ほど遠い状態でしたから。
こちらが大きな問題というべきかもしれません。

 

ああ、米軍基地の問題なら、現状で全て返還というのは無理だということは、私は理解しています。
危険な普天間基地の解消のためには辺野古移設が現実的、ということについても、そして、当時の仲井眞知事が苦渋の決断で受け入れたのも理解できますし、県民の中でそれと反する意見が少なくないことも理解しています。

これらについては、いろいろな立場から意見が表明されていますし。

 

理解しにくいのは、尖閣諸島の近辺で、沖縄の漁師さんたちが安心して漁に従事できない状況と、それに対する国や地方の政治家などの対応です。

 

「日本本土」のどこに、外国公船の異常な行動を恐れなければならない漁師さんが存在しているでしょうか?
水産業については、少なくともまだ「本土並み」は実現していませんよね?
この件、今日の首相、沖縄県知事、マスメディアで明確に触れた発信はあったでしょうか?

 

自公両党にも野党にも「親中派」が少なくないことは知っています。
もちろん、そうでない政治家もいます。
地元の漁師さんたちにしてみれば、「中国とのパイプ」を利用して安全操業を確保してもよいし、「毅然とした態度」で海上保安庁の対応能力の向上はもちろん、場合によって尖閣諸島に米軍や自衛隊の基地を設置する計画を進めてもよいのです。
要は、「本土」の漁師さんたちと同レベルの安全操業が確保できれば。

 

え? 尖閣諸島で毅然とした態度を示すと、中国本土への経済進出などで嫌がらせを受けるおそれがある?
そんなことを中国が本当にやれば、国際法違反ですよね?
そして、それこそ、沖縄の人々が「本土」の財界の利益の犠牲になったままでよいのですか?