ソ連はナチスと「談合」してたよね

先日のフィンランドの記事の関連のような話です。

 

ロシア側、特にプーチン大統領は、ナチスドイツに(ソビエト連邦が)勝利したことを強調したり、敵対勢力(ウクライナなど)を「ネオナチ」と呼んだりしています。
ですが、第二次世界大戦当時のソ連指導者(というか独裁者)、ヨシフ・スターリンは、ナチスドイツと「談合」(秘密協定)していたことが知られています。

 

 

大雑把な図で、多少のズレはあるとは思いますが、赤い太線が第二次世界大戦前のソ連の西側国境です。
ドイツがポーランド西側に攻め込んだ際に、ソ連ポーランドの東側に攻め込みました。
独ソの秘密協定どおりの分割です。
バルト3国やルーマニアの東側(ベッサラビア)も、結局はソ連が侵入しました。
図の縦線の地域で、戦争終了後にソ連領となった部分です。

 

フィンランドの東側も、ソ連が奪い取りました。
(図がまずいのですが、もう少し面積が広かったかもしれません。)
フィンランドについては、ポーランドのように問答無用で侵略したのではなく、領土の交換や租借などを要求し、それをフィンランドが受け入れなかったことがきっかけになっています。
ソ連は(ドイツと不可侵協定を結んでいたものの)ドイツがフィンランド領を通って攻めてくるという恐れから、当時のレニングラード(今のサンクトペテルブルク)とフィンランドとの間にあるカレリア地峡などの要地を要求し、それ以外の部分で土地をソ連から譲渡するという提案をしました。他に別の要地の租借なども要求しています。
その条件の妥当性、損得などは私にはわかりませんが、結果としてフィンランドは拒否し、ソ連は攻め込みました。


これが冬戦争。フィンランド軍はよく戦い、ソ連軍に大きな損害を与えましたが、国力に差がありすぎ、国土を割譲することとなります。
その後、独ソ戦が起き、フィンランドも再びソ連と戦端を開き(継続戦争)、善戦はしたものの、さらに国土を手放す結果となりました。

 

継続戦争の際はドイツと協力する形になっており、フィンランドは「敗戦国」となってしまいました。
きっかけの冬戦争が、ソ連からの侵略であったにもかかわらず。
これは、イタリアが(枢軸国側で戦った期間が長かったのに)ムッソリーニ失脚後に連合国側として立ち回ったのに比べて、気の毒なような気もします。


もちろん、大日本帝国などは「ナチスドイツの同盟国としての地位」でやむを得ないと思いますが、途中までナチスと手を結んで東欧に領土を拡大したソ連が「戦勝国」、それも国連の常任理事国として大きな顔をしているのは、疑問を感じるのが正直なところです。

 

まあ、ロシア人(だけでなくウクライナなどの人々も)がナチス打倒に大きな人的犠牲を払ったのは事実ではあるので、その辺は政治的にもやむを得ないところでしょうが、「ネオナチ打倒」をウクライナ侵略の口実に使うのは、地獄在住(だと思う)のスターリン氏も苦笑しているのではないでしょうか。