容疑者は「勝ち逃げ」なんかじゃない

「身勝手」「償ってほしかった」容疑者死亡に憤りと無念 大阪ビル放火
毎日新聞 12/30(木) 21:51配信

 大阪市北区の雑居ビルに入るクリニックで男女25人が死亡した放火殺人事件で、意識不明が続いていた谷本盛雄容疑者(61)が30日死亡した。事件発生から13日。犠牲者の知人やクリニックに通っていた患者からは「あまりに身勝手だ」などと容疑者への憤りと共に、動機など真相究明が遠のいたことへの無念の声が広がった。
(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2be5486abd227edbac0fe9f11f16e7bf25230879

 


ではあるのですが・・・
警察関係者の捜査努力はまだ続いているようです。
クリニックの容疑者の電子カルテの復元も進んでいるとか(読売新聞31日)。

霊能力者で死後の容疑者を呼び出し・・・というのは警察はやらないだろうな。

 

それから、容疑者の「勝ち逃げ」などの声もネット上などで散見されますが、それはどうでしょうか。
そもそも(容疑者の)「勝利条件」の設定が間違っているように思います。
淋しくて一人で死ぬのがいやだから大量巻き添え殺人を行った、として(仮定ですが)、死ぬときは、結局は一人ですよね。
仮に死後の世界があったとして(私はあると思っていますが)、他の懸命に生きた人々の魂と同じところには、容疑者の魂は行けないでしょう。
生きている間は、生きようとしている間は、このクリニックの院長のように手を差しのべる人があったとしても。

 

もっとも、神や仏、天使や悪魔というような存在が、この容疑者のことをどう考えるか、ということは私にはわからないので、人間の世界でわかり得る範囲の話題に戻します。

 

まず、以前の記事でも触れたように、クリニックの生き残った通院患者を引き受けようとする他のクリニックなどは、けっこう存在するようです。
これまで服用していた薬の処方だけでなく、今回の事件に関するメンタルケアも重要でしょうから、大変だろうとは思いますが。

 

ついでに書いておくと、今回の容疑者が引き起こしたことと、一般の心療内科・精神科にかかっている人々の問題とは、関係ないと考えています。
つまり、この容疑者は、精神科などの症状を原因として事件を引き起こしたのではないだろうと。
このことについては、おそらく今後、解説するような識者が複数現れるのではないでしょうか。

 

社会的な問題として、雑居ビルなどの「既存不適格」物件にどう対応するか、というのがあります。
事実上、一方向にしか避難通路がない場合、どうするか。
スプリンクラーなども設置が困難、として。
私のような素人が思いつくのは、シューターや避難梯子のような避難器具を、出入り口から遠い側の窓際にでも設置しておくということぐらいでしょうか。
それでも、それで高層階から脱出するのはスリルがありすぎるし、そもそも大量の人間を避難させるのには向いていないようです。
人間を安全に運べるようなドローン技術は無理なのだろうか。
タケコプターは高性能だなあ。
いろいろ考えている人、努力している人はきっといると思います。

 

あと、「死にたい」とか「淋しい」とか、いま悩んでいる人がいたら。
正月明けにでも、公的機関に連絡してみてください。
たとえばこちら。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_tel.html

死んでしまった人は蘇りませんが、生きている人は、まだ助かります。