スガ内閣の終わりに

菅義偉内閣(以下、民主党政権のカン内閣と紛らわしくないようにスガ内閣と書きます)が終了し、岸田内閣が成立しました。

多くの政権には比率の違いこそあれ功罪両方があるだろうし、コロナ禍では誰が政権を運営しても難しさがあると思います。
歴史的に見てどうか、ということについては、将来でないと確定しないでしょう。
それでも、現時点で、スガ内閣についていえば、少なくとも新型コロナワクチン接種については大きな成果を上げた、といってよいと思います。

 

スガ氏が自民党総裁選に立候補しないことを発表したのが9月3日でした。
新型コロナウイルス感染症の陽性判明者数は、


9月3日:16,724人(うち東京都2,539人)
9月29日(総裁選投票日):1,972人(267人)


ということで、デルタ株が猛威を振るう中でも、文字どおり桁違いに減少しています。
感染者数減少の理由はいろいろ複合的にあるでしょうが、ワクチン接種率の上昇が大きな要因になったのは、たぶん間違いないだろうと思います。
こういう状況が予想できていたら、自民党内の情勢が変わっていたかもしれません。

 

もっとも、スガ内閣の支持率が低かったのは、以前にも書きましたが、コロナ対策のためというよりも、自民党、あるいは自公連立政権自体の有する問題、各種の不祥事、疑惑といったものが大きいと思います。
それなのに、スガ氏が看板では選挙に勝てないからという理由で「看板の掛け替え」に動いた(選挙基盤の弱い)少なくない自民党議員。
岸田体制になり二階幹事長は排除されましたが、それでも同党に一票を入れるか、というと、考えざるを得ません。

 

ついでに、河野太郎氏。
行革・ワクチン担当大臣としては、並の閣僚よりはずっと働いたでしょう(ご本人のセリフのように120点かどうかは別にして)。
甘利氏が河野氏を批判していましたが、甘利氏が粘り強い根回しなどでTPPをまとめた手法と、河野氏が根回しなどにこだわらずにワクチン接種を進めた手法と、同一平面上で論じるのは難しいと思います。


ただ、これも以前に書いたように、少なくとも現在の同氏が総理総裁に向いているとは思いません。
総裁選が始まってからは、むしろわざと負けようとしているのだろうかと推測したくなるような言動(「小石河連合」以外にも)で、負けるべくして負けた、と党外からも見えました。

 

スガ氏と河野氏と共通の課題を挙げれば、優秀な相談相手、参謀がいないということ。
安倍内閣にはスガ官房長官がいたが、スガ内閣にはいない、とよく言われました(加藤氏は、こういうときには役に立たない)。
涙を流してスガ氏の出馬を断念させる小泉氏のような人間では、はっきり言ってお話にならない。
小泉氏が全くの無能とまでは言いません。ネット上で評判の悪いレジ袋の有料化も、絶対善ではないにしても、選択にはなり得る政策ではあるでしょう。
むしろ、ある種の才能があるからこそ、スガ氏や河野氏の足を引っ張ったのかもしれません。

 

なお、河野氏の親族の経営企業が中国で合弁事業をやっている件について、マスメディアやネット上で批判や中傷めいた意見が出ていましたが、これについては私は問題視していません。「通俗的な小物政治家」ならともかく、同氏のようなタイプ(良くも悪くも)がそれによって政策的な影響を受けるとは、きわめて考えにくいですし、むしろ事実がオープンになっているだけ、意図的な利益誘導などはしにくいと考えるのが妥当でしょう。
悪徳利権政治家は、わかりにくいように利権を確保するものです。

 

また、河野氏の主張のうち、夫婦選択別姓について賛成で、この手の問題は党議拘束を外して議論すべき、というのは、私の考え方と同じです。
もちろん、野党側も党議拘束を外して。
選択別姓については、また機会を見て記事にするつもりです。

 

高市早苗氏のヘビメタなどについても書きたかったのですが、こちらもまたの機会に。