役所で机を叩いても決定は変わらない

東京新聞厚労省に謝罪 取材中、机たたき職員怒鳴る
共同通信 10/4(日) 15:38配信

 東京新聞は4日、社会部の40代の男性記者が厚生労働省の職員を取材中、机をたたいて怒鳴るなど暴力的な行為をし、職員に心理的な負荷をかけたとして、厚労省に謝罪する文書を出したと明らかにした。同日付の朝刊で報じた。

 東京新聞によると、記者は新型コロナウイルス対策として、政府が全世帯に配布したマスクの単価や規格決定の経緯を調べるため、厚労省に情報公開請求した。不開示とされたことを受け、担当部署の職員に8~9月に2度取材した。

 このうち9月4日の取材は3時間45分に及んだ。

 加古陽治編集局次長は「職員の方々を傷つけたことを深くおわびします」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cf39cca332fe5efeca13be30085215f5d0785dcb

 


東京新聞については、安倍内閣時代から何かと官邸筋と対立するイメージがあったり、その中には官房長官であった現首相との関係についても風評があったりしましたが、今回はそれについては触れるつもりがありません。

長年、地方公務員として過ごしてきた私ですが、個人的には、政府や自治体について批判的な目を持つ存在というのは必要なのだろうと思っています。
ただ、暴力的な行為は、もちろん不適切です。

 

<参考>
役所で机をひっくり返してはいけない
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2020/06/16/225150

役所に行くのに刃物は不要
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2020/05/14/213848

 


情報公開請求をすることは、マスメディアに限らず、国民(住民)の権利です。
ただ、一部不開示(いわゆる黒塗り)や全部不開示にすることは、法令や条例の規定上、どうしてもあり得ることです。
そして、その決定は、担当職員個人の判断ではなく、公開請求を受けた組織(課とか事務所)として判断しているはずです。
3時間45分かけてもお互いに時間の無駄ですし、職員個人に心理的負荷をかけても、その決定はひっくり返りません。

だいたい暴力的行為で官公庁の決定が覆ることはないし、あってはならないのです。

 

もちろん、いわゆる「アベノマスク」など新型コロナウイルス対策について、いろいろ疑義があるのはわかります。
でも、不開示が納得できないのなら、暴力的行為ではなく、審査請求とか行政訴訟とかで対抗するのが筋です。
そういうことは、一般国民よりも、マスメディア関係者の方が詳しいはずだと思うのですが。

 

そんな東京新聞記者には、「ペンは剣よりも強し」という言葉をあらためて贈りましょう。
本来、言論人が権力者に対して贈るべき言葉なのでしょうが。