仮想インタビュー

安倍首相が辞任表明しましたが、批判、同情的な声、惜しむ声など、いろいろあるようです。

 

いろいろあって当然でしょう。論評する人たちも、思想や立場はさまざまでしょうから。
まだ退陣されたわけではなく、後継者が決まるまでは職務にとどまる、ということですから、歴史的にどう評価するか、というようなことについては、まだ定まっていないと思います。こういうご時世ですから、たとえば明日にでも何か起きて、評価点が大きく動いたとしても不思議ではありません。

 

今の時点では、どう評価しますか。

 

外交については、少なくとも近年の他の内閣よりはマシ、と見ます。西欧や北米、豪州などはもちろんですが、何かと問題が多かった中国でも、尊敬はされていたでしょう。譲歩するだけでは好かれはしても見くびられる、という場合があります。一方、毅然とした主張をする相手は、嫌われはしても一目置かれる、というような文化もあります。政権基盤が強くて在職期間が長い、というのも外交的にはメリットが大きかったと思います。
もっとも、「外交が得意」という意識から回り回って、新型コロナウイルス対策で外国人の入国制限が遅れた、ということがなかったか。まあ、コロナ禍自体がまだ決着がついていないので、現時点では保留とします。
内政、特に社会保障や税制については、私と考え方が違う面が多々あります。もっとも、この分野で私と全く同じ考え方の政治家はいないか、少なくとも多くはないでしょうが。
それらとは別に、長期政権で、忖度した官僚によりいろいろ問題が起きた、ということについては、真相を明らかにしてほしいと思います。

 

新型コロナウイルス対策で大変な中、第一次安倍内閣に引き続き、途中で政権を放り出す、というような批判もありますが。

 

先のことはわかりませんが、自分で背負い込まない、というのは良い判断だったと思います。
私はもちろん、彼の主治医ではないので、病状の詳細はわかりませんが、この先でもっと悪化してから急に投げ出すよりも、ずっと良かったのではないでしょうか。
これぐらいだったら病状を隠して政権にしがみついたのではないだろうか、というような政治家が、諸外国の中には必ずいると思います。
安倍氏が、というより、日本の政治家だったらこういう場合に身を引く決断をする、という方が実は少なくないと思っているのですが、そういう文化というか政治風土を、私は好ましく思っています。
ちょっと話がそれるきらいがありますが、「逃げちゃだめだ」とあまり思い込まない方がよい、と、特に自殺に追い込まれそうな人たちのために強調しておきたいと思います。