保健所の常勤職員数の変化

新型コロナウイルス感染症対策で、医療従事者が大変ですが、保健所等の職員の負担も問題になっています。

 

「地域保健・健康増進事業報告」から、全国の保健所や市区町村の常勤職員数の変化をみてみます。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450025&tstat=000001030884

 

上のリンクで、直近のデータが平成29年度、最古が平成12年度のものでした。

12年は介護保険制度スタート直後の過渡期ということで、その翌年度(13年度)と比較します。ちょうど中間が21年度(新型インフルエンザの流行年)になるので、それも入れてみます。

 

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常勤職員数は13年度から21年度にかけて5,400人余り減少しています。それから29年度までは、ほぼ横ばいで回復していません。

 

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医師数は大きく減少しています。通常は保健所長は医師ですから、保健所の統廃合も少なくなかったと思われます。

 

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対人保健の実働部隊は保健師が主力といっていいでしょう(対物・・・というか環境保健は食品衛生など他の専門職が主力となります)。保健師はいくらか増えてはいますが(H13→H29で4%増)、保助看法関係職種(保健師以外に助産師・看護師・准看護師)の合計では21年度にかけて一度減り、29年度でも回復しきっていません。

 

保健所に限らず、自治体の職員数は減少傾向です。財政難の中、やむを得ないと考えられているのでしょうが、保健所や福祉事務所など法令に基づいた仕事を行う部署は、やはり減らすべきではなかったのではないでしょうか(首長がやりたがるイベント系は減らしてもよい、と個人的には思います)。

今からすぐに保健師などの職員数を増やすことは難しいかもしれませんが、この新型コロナウイルス感染症の件が落ち着いたら、検討すべき課題でしょう。

 

ちなみに、常勤保健師の人口対比では、首都圏や大阪・兵庫など、今、ウイルス対策で大変な自治体が少なめの印象です。

 

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出所:平成29年度地域保健・健康増進事業報告の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/17/index.html